【解説】平家物語 巻一~巻十二 古活字版 下村時房刊本

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文化財分類 CB図書
資料形式 CBテキストデータベース
+解説平家物語 古活字版 下村時房刊本 [貴2304-2315]

〈外題〉「平家物語 一(~十二)」(左肩打付墨書)
〈内題〉「平家物語 巻第一(~十二)」
〈巻冊〉12巻12冊
〈体裁〉袋綴(五つ目綴)
〈刊年〉慶長年間(1596~1614)
〈表紙寸法〉縦27.8糎×横20.2糎
〈書入・貼紙〉書入(墨・朱)あり。朱引あり。
〈刊記〉「下村時房刊之」
〈蔵書印〉なし
〈解題〉

平家物語一方系語り本の一種。近世初頭の慶長年間(1596~1615)に古活字版として刊行され、巻十二の巻末に「下村時房刊之」とあることによって、「下村本」と通称される。平仮名交じり十行本。下村時房については、当時京都嵯峨において精力的に出版を行っていた角倉素庵の関係者であっただろうということ以外は未詳である。

川瀬一馬氏は、巻八の冒頭章段名「山門御幸」の有無により、初版本と改訂版の二種類に分類するが、巻八の冒頭章段名と同様の問題は巻二の冒頭章段名「座主流」においても見られ、巻八が補訂されていても巻二は補訂されていない本や、その逆の本などもあるため、章段名の有無による分類は意味をなさない(國學院本は巻二の冒頭章段名「座主流」を欠き、巻八の冒頭章段名「山門御幸」は補訂されている)。

本書には、巻二・巻七・巻八・巻十二に、単なる誤字の訂正にとどまらない切貼墨書訂正が施されているが、これはいずれの伝本にも同一の箇所に共通して施されているもので、摺刷後に工房内でほぼ時を同じくして施されたものと考えられる。

また、本書には特記すべき点として、全巻に690余箇所にわたって主に流布本本文との校異が綿密に施されている点や、巻十二の異植字版にあたる四丁分に、流布本本文による補写が見受けられる点が挙げられるが、いずれも刊行後ほどなく施されたものと思われ、注目される。

〈参考〉

・川瀬一馬『増補古活字版之研究』(ABAJ 1967年)

・高木浩明「下村本『平家物語』と制作環境をめぐって」(『二松学舎大学人文論叢』58 1997年)

・高木浩明「下村本『平家物語』とその周辺-國學院大學図書館蔵本から考えられること-」(『國學院雑誌』107-8 2006年8月)
+登録番号(図書館資料ID)貴2304-2315
資料ID143630
所有者(所蔵者)國學院大學図書館
-143629 37 2020/11/18 r.teshina 【解説】平家物語 巻一~巻十二 古活字版 下村時房刊本 【解説】平家物語 巻一~巻十二 古活字版 下村時房刊本 貴2304-2315 10 008 平家物語 古活字版 下村時房刊本 [貴2304-2315]

〈外題〉「平家物語 一(~十二)」(左肩打付墨書)
〈内題〉「平家物語 巻第一(~十二)」
〈巻冊〉12巻12冊
〈体裁〉袋綴(五つ目綴)
〈刊年〉慶長年間(1596~1614)
〈表紙寸法〉縦27.8糎×横20.2糎
〈書入・貼紙〉書入(墨・朱)あり。朱引あり。
〈刊記〉「下村時房刊之」
〈蔵書印〉なし
〈解題〉

平家物語一方系語り本の一種。近世初頭の慶長年間(1596~1615)に古活字版として刊行され、巻十二の巻末に「下村時房刊之」とあることによって、「下村本」と通称される。平仮名交じり十行本。下村時房については、当時京都嵯峨において精力的に出版を行っていた角倉素庵の関係者であっただろうということ以外は未詳である。

川瀬一馬氏は、巻八の冒頭章段名「山門御幸」の有無により、初版本と改訂版の二種類に分類するが、巻八の冒頭章段名と同様の問題は巻二の冒頭章段名「座主流」においても見られ、巻八が補訂されていても巻二は補訂されていない本や、その逆の本などもあるため、章段名の有無による分類は意味をなさない(國學院本は巻二の冒頭章段名「座主流」を欠き、巻八の冒頭章段名「山門御幸」は補訂されている)。

本書には、巻二・巻七・巻八・巻十二に、単なる誤字の訂正にとどまらない切貼墨書訂正が施されているが、これはいずれの伝本にも同一の箇所に共通して施されているもので、摺刷後に工房内でほぼ時を同じくして施されたものと考えられる。

また、本書には特記すべき点として、全巻に690余箇所にわたって主に流布本本文との校異が綿密に施されている点や、巻十二の異植字版にあたる四丁分に、流布本本文による補写が見受けられる点が挙げられるが、いずれも刊行後ほどなく施されたものと思われ、注目される。

〈参考〉

・川瀬一馬『増補古活字版之研究』(ABAJ 1967年)

・高木浩明「下村本『平家物語』と制作環境をめぐって」(『二松学舎大学人文論叢』58 1997年)

・高木浩明「下村本『平家物語』とその周辺-國學院大學図書館蔵本から考えられること-」(『國學院雑誌』107-8 2006年8月) 1

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