【解説】呉越絵 上・中・下
大分類 | 図書館デジタルライブラリー |
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中分類 | 奈良絵本・絵巻物関係 |
小分類 | 呉越絵 上・中・下 |
分野分類 CB | 歴史学 |
文化財分類 CB | 図書 |
資料形式 CB | テキストデータベース |
+解説 | 呉越絵 [貴2367-2369] 〈外題〉「呉越 上(中・下)」(金地原装題簽) 〈内題〉なし 〈巻冊〉3巻3軸 〈体裁〉巻子装 〈書写年代〉寛文・延宝頃(1661~1680) 〈表紙寸法〉縦33.2糎 〈書入・貼紙〉ルビあり(本文同筆) 〈奥書〉なし 〈蔵書印〉なし 〈解題〉 室町時代物語(お伽草子)の絵巻。呉越の合戦の顛末を語る物語で、越王勾践が忠臣・范蠡(はんれい)の助力に依って呉王夫差を滅ぼし、「会稽の恥を雪(すす)ぐ」までを描く。もとは漢籍を典拠とする話ではあるが、『太平記』や『曽我物語』など、中世の軍記物語にしばしば引用されている。 『呉越絵』の諸本は、本絵巻の他に、赤木文庫旧蔵本、ニューヨーク公立図書館スペンサーコレクション本、本絵巻の下巻相当に当たる「はんれい」と題された天理大学附属天理図書館蔵本が知られている。諸本間での本文異同はほとんど見られないが、赤木文庫本に本文の脱落や末尾に「是そ呉越の記をあらはしけるとかや」の一文があるなどの違いが見られる。本絵巻の挿絵は、天理本の構図にもっとも近い。 桐箱の蓋裏側に「呉越ものがたり 傳狩野長信筆」との墨書があるが、狩野長信(1577~1654)は江戸時代初期に活躍した狩野派の絵師で、寛文・延宝頃に制作されたと推測される本絵巻の制作に関与したとは考えにくい。 なお、本絵巻の詞書書写者は、本学所蔵『舟のゐとく』(貴4201~4202)や『張良絵巻』(貴1739~1740)と同一人物であると推定されている。また、この三つの絵巻の挿絵には、構図や画風が酷似するものが複数見られる。加えて、紙高や本文の料紙、下絵などの装訂が共通していることから、これらの絵巻が同時期に同一の工房で制作された可能性が高いと考えられる。 〈翻刻〉 ・針本正行 山本岳史「國學院大學図書館所蔵『呉越絵』の解題と翻刻」(『國學院大學 校史・学術資産研究』3 2011年3月) 〈参考〉 ・徳江元正「「秤の本地」他解題」(『國學院大學図書館紀要』2 1990年3月) ・小林健二「『太平記』を題材とした絵巻・絵本 ―スペンサーコレクション蔵『呉越物語』を中心に―」(『説話文学研究』46 2011年3月) ・石川透「天理大学附属天理図書館蔵『はんれい』について―附解題・翻刻・挿絵―」(『徳江元正退職記念 鎌倉室町文学論纂』三弥井書店 2002年) ・石川透『奈良絵本・絵巻の生成』(三弥井書店 2003年) |
+登録番号(図書館資料ID) | 貴2367~2369* |
所有者(所蔵者) | 國學院大學図書館 |
コンテンツ権利区分 | CC BY-SA-ND |
資料ID | 143172 |
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