【解説】稲荷妻の草子
大分類 | 図書館デジタルライブラリー |
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中分類 | 奈良絵本・絵巻物関係 |
小分類 | 稲荷妻の草子 |
分野分類 CB | 歴史学 |
文化財分類 CB | 図書 |
資料形式 CB | テキストデータベース |
+解説 | 稲荷妻の草子 [貴1173] 〈外題〉なし(金地題簽あり 〈内題〉「いなり妻(づま)の草子(さうし)」 〈巻冊〉1軸 〈体裁〉巻子装 〈書写年代〉江戸時代中期 〈表紙寸法〉縦31.5糎×横約189.0糎 〈書入・貼紙〉振り仮名、句読点あり(朱書)。ミセケチによる本文訂正箇所あり。 〈奥書〉なし 〈蔵書印〉なし 〈解題〉 室町時代物語(お伽草子)の絵巻。異類物。 人と狐の異類婚を描いた狐女房譚と福徳長寿をもたらす稲荷大明神の霊験譚の二つのテーマが結びついた物語を絵巻に仕立てたもの。今のところ本書の他に現存伝本は確認されていない。 あらすじは以下の通りである。 相模国松原という所に平(へい)次(じ)良(ろう)という貧しい男がいた。平次良は、氏神である稲荷大明神に参り、毎日福徳を祈り続けていた。ある日、 稲荷大明神から「家を富み栄えさせる妻を与えよう」というお告げがある。その妻は稲荷大明神の使いである白狐であった。かくして平次良はますます繁盛し、93歳で成仏した。 狐女房譚の話型は、早く『日本霊異記』(上巻第二「狐を妻として子を生ましむる縁」)などに見える。本作品は先行する狐女房譚の話型を引き継ぎつつ、男主人公自身に福徳長寿の現世利益がもたらされたところで話を結ぶところに特徴がある。稲荷社は、福徳長寿などの現世利益をもたらす神として信仰を集めており、主人公の福徳長寿で話を結ぶ本作品は、稲荷信仰喧伝のための説話や伝承を基に制作されたものと推測される。 〈参考〉 ・岩本徳一「稲荷信仰縁起考」(『神道宗教』28 1962年11月) ・『お伽草子事典』「いなり妻の草子」項(伊藤慎吾執筆 東京堂出版 2002年) ・大坪俊介「『いなり妻の草子』に見る狐女房譚の継承と稲荷信仰」 (『国文学試論』18 2009年3月) |
+登録番号(図書館資料ID) | 貴1173 |
所有者(所蔵者) | 國學院大學図書館 |
コンテンツ権利区分 | CC BY-SA-ND |
資料ID | 143162 |
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