【解説】佐賀祭
大分類 | 図書館デジタルライブラリー |
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中分類 | 奈良絵本・絵巻物関係 |
小分類 | 佐賀祭 |
分野分類 CB | 歴史学 |
文化財分類 CB | 図書 |
資料形式 CB | テキストデータベース |
+解説 | 佐賀祭 〈外題〉佐賀まつり 〈内題〉なし 〈巻冊〉1巻1軸 〈体裁〉巻子装 〈書写年代〉江戸時代後期 〈寸法〉縦 34.2糎 〈奥書〉ナシ 〈解題〉 「佐賀まつり」の題が付されているが、嵯峨まつり(京都府、愛宕神社・野宮神社)の特徴である剣鉾は描かれておらず、同祭礼を写実的に描いたものと断定することはできない。先行する祭礼図や伝聞、いくつかの祭礼の様子など、様々な情報を組み合わせて描いた祭礼絵巻である可能性が高い。 同じく「嵯峨祭」を描いたものとしてチェスター・ビーティー・ライブラリー所蔵の「嵯峨祭絵巻」(1巻)がある。こちらには剣鉾が描かれるが、実際の祭礼と異なる部分があり、嵯峨祭を描いたとする根拠は題箋のみである。本学所蔵のこの絵巻を「嵯峨祭」とする根拠も同様である。 本絵巻は、冒頭に楼門が描かれ、祭礼行列として、恵比寿・布袋などの福神、藤娘、座頭の仮装をした人々や巫女、神輿が描かれている。ここに描かれる花籠、布袋、藤娘などは、大英博物館所蔵「藤森祭絵巻」や先述のチェスター・ビーティー本と同じ描写がなされていることが八反裕太郎氏によって指摘されている。また、同氏は、これらの絵巻及びニューヨーク・パブリック・ライブラリー、林原美術館、国立歴史民俗博物館が所蔵する「藤森祭絵巻」「嵯峨祭絵巻」「稲荷祭絵巻」と称される絵巻群は同一工房による作品であることを指摘し、特定祭礼にこだわらない作画姿勢が感じられ、祭礼絵巻の工房における制作状況の一端をうかがい知ることができるように思われるとする。 國學院大學図書館所蔵の「つしま祭」も、実際の津島祭(愛知県、津島神社)の様子とは異なっている。これも伝聞などをもとに絵画工房によって創作されたものと推定される。 このような絵画工房によって創作される祭礼絵巻の研究は、未開拓であるといってよく、本資料はその研究上、重要な情報を提示すると考える。 〈参考〉 ・『國學院大學神道資料館 館報』12(特集:神社祭礼を描いた絵巻)(國學院大學研究開発推進機構学術資料館神道資料館部門、2012年) ・『國學院大學 学びへの誘い 祭礼絵巻にみる日本のこころ』(國學院大學、2013年) ・八反裕太郎「祭礼絵巻にみる中世的風流について―「北野天満宮祭礼絵巻」と「熱田宮年中行事絵巻」模本を例に―」(『中世文学と隣接諸学7 中世の芸能と文芸』小林健二編、竹林舎、2012年) ・『京都 剣鉾のまつり 調査報告書』(京都の民俗文化総合活性化プロジェクト実行委員会編集・発行、2014年) |
所有者(所蔵者) | 國學院大學図書館 |
コンテンツ権利区分 | CC BY-SA-ND |
資料ID | 143150 |
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