【解説】大嘗会御記
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小分類 | 大嘗会御記 |
分野分類 CB | 歴史学 |
文化財分類 CB | 図書 |
資料形式 CB | テキストデータベース |
+解説 | 大嘗会御記 [貴1177] 〈外題〉大嘗会御記 以宸筆記写之 〈内題〉大嘗会御記 以宸筆記写之 〈巻冊〉1冊 〈体裁〉袋綴 〈書写年代〉江戸時代後期 〈表紙寸法〉縦27.0糎×横18.8糎 〈奥書〉ナシ 〈解題〉 正応元年(1288)11月、伏見天皇大嘗祭の記録である。冒頭は欠損しているが、大嘗祭卯日の神事の様子を詳細に記している。伏見天皇宸筆の御記は、宮内庁書陵部に所蔵されている(後半の一部のみ現存)。 本書の前半部分は一つ書きで、神殿内の神饌供進の作法における注意点が記されている。神饌供進の作法について、采女の申す事を中心に、関白や文永(先代・後宇多天皇)、文応(先々代・亀山天皇)などの先例を引いて伏見天皇が注記したものである。本写本の原本の時点で冒頭が欠損しており、「灑酒事」から始まる7つの事項が伝来している。白酒・黒酒をそそぐ作法、御飯には米と粟があること、御飯以外の神饌の盛り方、天皇が御酒を飲む作法、などが記されている。 後半部は、正応元年11月22日大嘗祭卯日の神事の次第を、伏見天皇自ら記したものである。亥刻(午後9時頃)に天皇が出御し、朝堂院内に建てられた大嘗宮北の廻立殿に到着する次第より始まり、廻立殿における潔斎や、神事服を召される様子、そして大嘗宮への入御、神膳行立、神膳供進、廻立殿への還御、などが詳細に記されている。 大嘗祭の次第は、最詳最古の規定である『儀式』や、平安時代中期成立の『延喜式』などから再現することは可能であるが、「式」は諸官人に対する規定のため、神殿内での天皇の所作は記されず、実際に天皇が神殿内で行った様子は、天皇もしくは摂政・関白などのごく限られた人物にしか知られていない。このような大嘗宮神殿内の神膳供進の様子は、平安時代後期頃以降、公卿の日記や天皇の御記で散見されるようになる。その中でも本写本は、伏見天皇が実際に行った様子を自ら記したものであるため、神殿内の作法を知る上で極めて貴重な史料と言うことができる。伏見天皇の神膳供進の次第などは、天仁度(鳥羽天皇、『江記』逸文)や保安度(崇徳天皇、『大嘗会卯日御記』)の大嘗祭と基本的に一致し、本書で記された大嘗祭の次第・作法の基本は、平安時代後期までは十分に遡りうるものである。 〈参考〉 ・岡田莊司『大嘗祭と古代の祭祀』(吉川弘文館、平成31年3月) ・大野健雄校注『神道大系』朝儀祭祀編五 践祚大嘗祭(神道大系編纂会、昭和60年10月) |
+登録番号(図書館資料ID) | 貴-1177 |
資料ID | 143132 |
所有者(所蔵者) | 國學院大學図書館 |
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