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舞踊用手持木斧

ME. No.30
資料分類名舞踏用具 Dance Implement
現地名pem/hasok/asok
素材木、黒色顔料(木炭)、白色顔料(石灰)、赤色顔料(赤土)、黄色顔料(花?)
L.(㎝)133
W.(㎝)22
H.(㎝)-
地域区分メラネシア Melanesia
推定収集地1ビスマルク諸島 ニューブリテン島ガゼル半島・セントジョージ水道 トーライ部族/Bismarck Archipelago, New Britain, Gazelle Peninsula and Saint George' Channel, Tolai tribe
推定収集地2ビスマルク諸島 ニューアイルランド島南部 スルスルンガ地域/Bismarck Archipelago, South of New Ireland, Sursurunga Area
収集者小嶺磯吉
寄贈者松江春次
執筆者1藤澤綾乃
解説1木柄の両端に,当地の生活に密接に関わる斧と櫂が表されている.斧の刃部は先端両面に調整がほどこされている.類例には鉄斧を装着した資料が認められる.記録によれば,実際に人を殺める際に鉄斧が使用されたこともあったという.櫂は鮮やかに彩色され,実に7 色の顔料が認められる.特に西欧由来の青色や緑色が目を引く.儀礼用具に広く用いられる渦紋や多重円紋,鋸歯紋の意匠が櫂部に彫られている.また一方の資料には,植物繊維を束ねた腰蓑状の意匠が柄の中ほどに付されており,ドゥクドゥクの儀礼を連想させる.

「文学部125年記念企画展 語り出す南洋の造形:慶應大所蔵・小嶺磯吉コレクション」展示冊子(p.10)より
執筆者2臺浩亮
解説2 ⽚端に櫂が表現される⼀⽊⽊柄に斧の模造品を装着した資料。櫂の両⾯には多重円⽂や鋸⻭状⽂を中⼼とする意匠が線刻される。特に多重円⽂はトーライ族の儀礼⽤具に頻繁に使⽤される意匠である。斧は基部から刃部にかけて幅は広くなる⼀⽅で、厚さは⼀様である。木柄を斧頭の基部に貫入させて装着させていることもあり、おそらく鉄斧を模したものであろう。類例には実際に鉄斧を装着するものもある。斧の先端には刃部調整が表現され、細部へのこだわりが感じられる。 記録によると⻄洋の影響を受けて「発明」された⽤具と現地島⺠には理解されていた。
過去に出品された展覧会「原始芸術」(サントリー美術館、1975年7月8日~8月17日)、「語り出す南洋の造形:慶應大所蔵・小嶺磯吉コレクション」(慶應義塾大学三田キャンパス図書館新館1F展示室、2015 年1月9日~2月7日)
本資料の掲載書籍南の會 1937『ニウギニア土俗品図集(上)』南洋興発、p.111, 718
サントリー美術館編 1975 『原始芸術』 第33図
山口徹監修 山口徹・安藤広道・佐藤孝雄・渡辺丈彦編 2015『語り出す南洋の造形:慶應大所蔵・小嶺磯吉コレクション』
土俗品図集No.718
類例掲載web(URL)https://anthro.amnh.org/anthropology/databases/common/image_dup.cfm?catno=%20%20ST%2F%202304
類例掲載書籍Heermann, Ingrid. 2001 Form Farbe Phantasie: Südsee-Kunst aus Neubritannien. Linden-Museum Stuttgart, p.44

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