蔓細工製装飾盾

ME. No.1314
資料分類名家屋 House
素材歯牙(豚)、歯牙(イルカ類)、歯(人間)、人毛、貝(タカラガイ)、羽(ヒクイドリ)、蔓(カニクサ属)、植物繊維(サゴヤシ)、粘土、木
L.(㎝)-
W.(㎝)-
H.(㎝)-
地域区分メラネシア Melanesia
推定収集地1ニューギニア地域 ニューギニア島北西海岸/New Guinea, North West Coast of New Guinea
推定収集地2セピック河支流ケラム川バナロ族/Banaro society of Keramu River, a branch of lower Sepik River
収集者南洋興発株式会社
寄贈者南洋興発株式会社
執筆者1山口徹
解説1 赤道の先に横たわるニューギニアで20世紀初頭に収集された楕円形の飾り盾で、極めて珍しい民族資料である。カニクサ属の蔓で編んだ網代を粘土で塗り固め、ブタとイルカ類の歯牙をその中に整然と埋め込んでいる。ヤシ科繊維を撚った綱と房が周りを取り囲み、ヒクイドリの黒い羽根が縁を飾る。中央には、盾部と同じ技法で造作された面長の仮面が付く。顎には縮れた人毛が植え込まれ、その直上に人の臼歯が並ぶ。下方に垂れ下がる鼻はセピック河下流域に広く認められる造形表現である。
 詳細な記録は残っていないが、米国とオランダにある数少ない類例情報からセピック河東岸に流下するケラム川沿いのバナロ社会から収集されたと考えられる。村々は第二次大戦後にキリスト教の影響で大きく変わったが、それまでは男性小屋を中心に社会生活が営まれていた。長手40mほどの高床式で、短手に設けられた張り出しに入口があった。なかの祭壇には精霊像が祀られていたというから、本資料も祭祀とかかわる造形物として男性小屋に保管されていた可能性が高い。ブタやヒクイドリは重要なトーテム動物であり、ブタの歯牙は権威や富の証でもあった。
過去に出品された展覧会「Keio Exhibition RoomX: 人間交際」(オンライン、2020年10月26日~2021年2月28日)
本資料の掲載書籍南の會 1937 『ニウギニア土俗品図集(上)』南洋興発株式会社、p.69
山口徹 2019「ニューギニアの蔓細工製装飾楯」『BIOSRORY』31: 1
土俗品図集No.1074
類例掲載書籍Fine Arts Museum of San Francisco. 2005. New Guinea Art, Masterpieces from the Jolika Collection of Marcia and John Friede, p.146, cat. no. 122.
Meyer, A.J.P. 1995. Oceanic Art. p.209, Fig. 219, Konenann Verlagsgesellschaft mbH.
Le Fur, Y. 1999. Le Mort n’en Saura Rien. Paris: Musee des Art d’Afrique et d’Oceanie.
Juillerat, Bernard. 2000. Do the Banaro really exist?: Going back after Richard Thurnwald. Oceania 71: 46-66.

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