photo: KIOKU Keizo

パースペクティブス

作家名(日)エル・アナツイ
作家名(英)El ANATSUI
制作年2015
素材・技法瓶の蓋(アルミニウム)、銅線
サイズH1185 × W1140 × D53cm
著作権表示© El ANATSUI
収蔵年2016(作品購入年月日:2016/03/31)
受入方法購入
解説1944年アニャコ(ガーナ)生まれ、ンスカ(ナイジェリア)在住。

クワメ・ンクルマ科学技術大学(ガーナ)で彫刻を学び、染色布や伝統的な装飾文様に影響を受けた木彫作品の制作を開始。1975年、ナイジェリア大学教授就任を機にンスカに移住。2000年頃から使用済みの瓶の金属蓋などを繋ぎ合わせ、タペストリーを思わせる大型のインスタレーション作品を次々と発表。2015年、ヴェネツィア・ビエンナーレにて「栄誉金獅子賞」を受賞した。

《パースペクティブス》は酒瓶の蓋を開いたものをひとつずつ銅線で繋いだ壮大なインスタレーション作品である。4つの模様を裾の部分に配し、異なる視点が世界を作ることに共感を示すとともに、それらはどれも等しく美しいことを表している。アルミニウム製の蓋は細工が容易なうえに、日常の中で容易に手に入る素材としてアナツイの目に留まり、2000年頃から盛んに作品に取り入れられるようになった。布の切れ端のようなパーツを組み合わせ、布地を拡大していくパッチワークと呼ばれる手工芸の手法と同じである。しかし、アナツイのパッチワークは、アルミニウム特有の柔らかい金属という特徴を生かし、芯材を入れなくてもある程度の成形を許す、融通のきく一枚ものにすることができる。広げた後に全体に柔らかい襞をつけ、より立体的で奥行きのある造形を可能にするのである。《空っぽの器》は錆で覆われた金属片が銅線で繋がれた作品で、細かく穿たれた穴でキャッサバと呼ばれる芋を細かくすり下ろすために使っていた日用品を素材としている。自然に晒され時間とともに朽ちていく金属板は、堅さや冷たさよりも脆弱さや暖かみが際立つ。

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