photo: SAIKI Taku

幻の中、そして生きていた日々

作家名(日)草間彌生
作家名(英)KUSAMA Yayoi
制作年1975
素材・技法インク、パステル、コラージュ / 紙
サイズH39.5 × W54.5cm
著作権表示© Yayoi Kusama
収蔵年2003(作品購入年月日:2003/03/31)
受入方法購入
解説1929年長野県(日本)生まれ、東京都在住。

50年以上にわたって創作活動を続ける草間彌生は、国内外の美術に多大な影響を与えてきた作家である。1950年代初頭より国内で作品を発表し始め、1957年に渡米。その後、活動の拠点をニューヨークに据え、インスタレーション作品や様々なパフォーマンスを展開していく。1973年に本格的に日本に帰国し、現在に至る。幼い頃からの自身の体験を絵に表すことを原点に、大規模な平面、立体、空間作品を展開し、特に、反復的で増殖的なドットや網の表現は、草間独自の世界像である。

草間の作品の一貫したモチーフのひとつに、反復的で増殖的なドットやネットがある。このモチーフは、時にカンヴァスという平面で展開され、さらにはカンヴァスを越えて、床、壁、天井、そして机や椅子、テーブル、ソファといった日用品にまで及んでいく。《自己消滅》は、このような何の変哲もない日常の調度品であるテーブルと椅子が水玉によって覆い尽くされる作品である。一方、《I’m Here, but Nothing》では、ブラックライトによって発光する無数のドットによって空間が覆い尽くされ、まるで鑑賞者自身も消えていくかのような無限の世界が創出される。ここでは上下左右といった距離感が消失し、自らの身体感覚さえも消える錯覚を覚える。「私はここに存在しているが無である」という作品タイトルは、世界における不確かな人間の存在性についての言及に他ならず、草間が一貫して表現し続けてきた世界である。

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