© NOGUCHI Rika

フジヤマ #10

作家名(日)野口里佳
作家名(英)NOGUCHI Rika
制作年1997
素材・技法発色現像方式印画
サイズH66.9 × W95.6cm
著作権表示© NOGUCHI Rika
収蔵年2003
受入方法購入
解説1971年埼玉県(日本)生まれ、沖縄県在住。

1992年より写真作品の制作を開始。1994年、日本大学芸術学部写真学科卒業。1995年、同学大学院芸術学研究科映像芸術専攻を中退し、同年の個展にて《潜る人》のシリーズを発表。水の中とダイバーを撮ったこの《潜る人》、富士山と登山者を撮った《フジヤマ》などに見られるように、野口の作品には被写体との微妙な距離が作り出す浮遊感と透明感が漂う。また、野口は、視界に入った光景を撮るのではなく、むしろ自身が求めるイメージに向かって視点を定めていく。こうした制作姿勢は《フジヤマ》以降、野口の制作の主流となり、数々のシリーズ作品として結実している。

《フジヤマ》は1997年から継続するシリーズであり、現在までに17点が発表されている。未開拓の大地を思わせるような富士山の表面と、大気や光、そこに存在する登山者を、作家自身も山を登りながら撮影した作品である。切り取られた風景からは、被写体に執着することもなく、かといって突き放して客観視するだけでもない、野口独自の視点が窺える。また、《A Prime》の英語タイトルを持つ本作品は、野口によれば「素数(prime number)についての作品」である。野口は制作を通して素数的なるものを探求する。それはこれ以上分解できない最も根源的な要素であり、野口自身が「我々が共有する原風景、宇宙から降り立った人間が最初に見た風景」と言い換えるものである。《フジヤマ》の連作は完結していない。それは、「素数」の探求が現在も続いていることを示している。

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