photo: Anders Sune Berg, courtesy of Kinotar Oy and Mika Taanila, The photo is taken at dOCUMENTA (13) in June 2012.

フィンランドで最も電化した町

作家名(日)ミカ・ターニラ
作家名(英)Mika TAANILA
制作年2004-2012
素材・技法3チャンネルヴィデオ、5.1サウンド
サイズ15分
著作権表示Mika Taanila 2012 © Kinotar/Elotar
収蔵年2014(作品購入年月日:2014/03/06)
受入方法購入
解説1965年ヘルシンキ(フィンランド)生まれ、同地在住。

ヘルシンキ大学で文化人類学を修めた後、事実とファンタジーの境界を往来しながら「テクノ・ユートピア」とも呼ぶべき未来の光景を独創的な短編フィルム、ヴィデオ、写真の作品として発表してきた。テクノロジーが現代社会において震央になるかについては、近代化の中で芸術の主要なテーマのひとつになったが、厳密なストーリーを持たない、事実を混ぜ合わせたようなターニラの作品は、実験的である以上に、創造的なドキュメンテーションといえる。

フィンランド南西部ユーラヨキのオルキルオト島に建設中(2014年当時)の原子力発電所「オルキルオト3」は、チェルノブイリ原発の事故以来、初めて欧州で再開された原子力発電所として注目を集めた。《フィンランドで最も電化した町》は、その建設工事の模様を撮影したドキュメンタリー映像をもとにした、ヴィデオ・インスタレーションである。3面のスクリーンには、明らかにヒューマン・スケールから外れた巨大な建造物と北欧の自然や人々の日常とが対置され、不気味さを生んでいる。可視化されない巨大な力や、高度に複雑化した社会構造の間(ルビ:はざま)で、経済と効率の偏重を脱しきれない人間の存在がこれまでにないほど矮小化されている現実を描き出し、原子力発電所という現代社会を象徴する建築物に着目した視点は重要である。部屋全体に響き渡るサウンドも、2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故を経た日本においては、21世紀初頭の時代の重苦しい感覚を強く印象づけるのかもしれない。

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