photo: SAIKI Taku
地図
作家名(日) | モナ・ハトゥム |
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作家名(英) | Mona HATOUM |
制作年 | 1998 |
素材・技法 | ガラス玉 |
サイズ | 展示空間に合わせる |
著作権表示 | © Mona HATOUM |
収蔵年 | 2003(作品購入年月日:2003/03/31) |
受入方法 | 購入 |
解説 | 1952年ベイルート(レバノン)生まれ、ロンドン(英国)、ベルリン(ドイツ)在住。 ベイルートに亡命したパレスチナ人の両親の間に生まれ育つ。1975年イギリスに滞在中、レバノン内戦が勃発したため祖国に戻れず、ロンドンに残留して美術を学び、1980年代初頭から身体を対象にしたパフォーマンスやヴィデオ作品で活動を始める。1990年代には、インスタレーションや彫刻へと次第に移行し、これらの表現では身近な家庭用品等を用い、親密で平穏な物体や環境が孕む不安や脅威を捉えている。社会からの断絶、戦争、亡命、そして追放といった個人的な体験を背景に、アイデンティティやセクシャリティといった問題を私たちに突きつける。 透明なガラス玉を床に隙間なく並べることにより陸地を形作り、世界地図を現した大きなインスタレーション作品。地形は客観的に制作されており、動かしようのない事実として提示されているが、この地図には国を表す国境が示されていない。隙間なく均質に並べられた無数のガラス玉は、ふとした衝撃により、容易に形が崩れてしまう危うさを思わせ、空間全体に緊張感を持たせる。ここには今日の世界情勢にとって中心的な課題である国境変動や、歴史や人為に潜む抑圧と暴力、そして、モナ・ハトゥム自身のレバノン生まれのパレスチナ人という生い立ちと祖国の内戦によるイギリスへの移住という二重の亡命者としての複雑な経験が反映されている。 |