photo: SAIKI Taku

安全地帯のアン・リー

作家名(日)ドミニク・ゴンザレス=フェルステル
作家名(英)Dominique GONZALEZ-FOERSTER
制作年2000
素材・技法ヴィデオ・インスタレーション
サイズ3分30秒
著作権表示© Dominique GONZALEZ-FOERSTER / Anna Sanders Films
収蔵年2003(作品購入年月日:2003/03/31)
受入方法購入
解説1965年ストラスブール(フランス)生まれ、パリ(フランス)、リオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)在住。

1990年代初頭からヴィデオや35ミリで映画を制作。また、雑誌の編集や展覧会企画も手掛ける一方、「部屋」をテーマにしたインスタレーション作品を平行して発表。光、色、音、写真、映像を素材に構成される空間には、ベッドやソファ等の家具、ラジオ、小説などが置かれ、何か不在なものや日常に潜む浮遊感を浮かび上がらせる。様々な表現形式をとりながら、見る者に映像空間の中にいるような、そして、時空を超えて人間の記憶や物語を紡ぐような体験を促す。

日本のアニメ製作会社が作り出した少女キャラクター「アン・リー」。アーティストのピエール・ユイグとフィリップ・パレーノが4,600円でその版権を共同で買い取り、この3Dアニメで連作を作るという呼びかけに応えた作品。急速に発展したインターネットによりネットワーク化された現代社会の環境を反映した試みであった。ユイグとパレーノの同シリーズの作品により、「アン・リー」の出自が明らかにされ、続くドミニク・ゴンザレス=フェルステルの作品では2人のキャラクターが登場し、片方が日本語で語り、もう一方が英訳していく。ここで「アン・リー」は、安住の地がどこにもないこと、そうして感情が体から切り離されていくことを警告し、最後に片方がもうひとりの体と重なり、その存在は「アン・リー」の中に消えていく。「アン・リー」の増幅する音声が降りしきる雨音と相まって、独特なリズムを刻む音韻として鳴り響く。その響きと登場人物のぎこちない動きにより、捉えようのない不安定さが我々の身体感覚に迫ってくる。

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