photo: SAIKI Taku
マイセルフ・ポートレート 02
作家名(日) | サイトウ・マコト |
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作家名(英) | SAITO Makoto |
制作年 | 2006 |
素材・技法 | アクリル、オイルインク / カンヴァス |
サイズ | H196 × W155.8cm |
著作権表示 | © SAITO Makoto |
収蔵年 | 2011(寄付採納年月日:2011/09/01) |
受入方法 | 寄贈 |
解説 | 1952年福岡県(日本)生まれ、東京都在住。 1970年代よりグラフィック・デザインに携わり、当時から国内外で注目を集める。日本、アメリカ、ヨーロッパ、南米などでデザイナーとして数多くの受賞歴を持ち、グラフィック・デザインの領域において時代を塗り替えてきた。1990年代半ばよりデザイン活動の傍ら本格的に絵画表現に取り組み始める。その表現を批評家・浅田彰は「真のコンピュータ・ペインティング」と賞した。人間のイメージを大胆に解体、再構築して表出される絵画表現には、サイトウ・マコトがこれまで一貫して培ってきた現代社会への鋭い視点が色濃く反映されている。 サイトウは、コンピュータを絵筆として制作するというオリジナルの手法を用い、イメージを大胆に解体する。幼い頃に父親に連れられ、断片化されたイメージの連続として見てきた映画のシーンを自身の記憶から引き出し、そのイメージに300以上ものレイヤーを重ね合わせ変換させる。イメージの粒子は分裂し、溶解し、個を特定する輪郭や表情は失われ、人物像は得体の知れない流動体へと変容していく。本作品群はその第一作。映画監督フランソワ・トリュフォーの映画のワンシーンを切り取り、作家自身をモチーフに重ねている。《マイセルフ・ポートレート 01》では、殺伐とした背景に正面を見据えて佇む少年の顔からは表情が読み取れず、不穏さと孤独感が漂う。その像が《マイセルフ・ポートレート 02》において暗転した時、そのイメージは異質な多様体として浮かび上がる。これらの表現には人間の内奥の感情をえぐり出し、新たな人間像を露わにしようとする果敢な試みが窺える。 |