photo: WATANABE Osamu

音と光ー緑の光線

作家名(日)ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス
作家名(英)Peter FISCHLI David WEISS
制作年1990
素材・技法フラッシュライト、回転台、プラスチック製コップ、粘着テープ
サイズH25 × W40 × D16 cm
著作権表示© Peter FISCHLI David WEISS
収蔵年2011
受入方法購入
解説ペーター・フィッシュリ:1952年チューリヒ(スイス)生まれ、同地在住。
ダヴィッド・ヴァイス:1946年チューリヒ生まれ、2012年同地にて逝去。

1979年、身近な食品を用いて日常を再現した写真「ソーセージ・シリーズ」を発表。概念主導の美術動向の中、支配構造への反発たるパンクの精神を備えた彼らは様々なメディアを柔軟に操り、身近な素材と明解な仕掛けという手法により、自身の技術の範囲内で膨大な時間とエネルギーを注ぎ、綿密さと偶然性によって制作。卑近な物事に目を向け、元来の用途を「誤用」し、意味や解釈の多様さを提示する。既成概念を検証、批評し、新たな価値を見出すとともに、世界と関わるということ、物事は常に相対的であるという世界観を象徴的に示す。

《無題(コンクリート・ランドスケープ)》は手作業で成形された長方体。屋外展示では、雨、光を受け、塵が積もり、苔が生え、凹凸ある表面に変化がきたされ、自然界の現象を映し出す風景表現となる。音の作品《クリン クロン》は、上記作品の展示空間を意識し制作された。柔らかな金属音は周囲の音と交わり、即興の音響空間を生み出す。《音と光― 緑の光線》は、既製品による機械仕掛けの彫刻。携帯ランプの光が、ターンテーブル上を転がるコップに投影され、背後の壁に光と影のムービング・イメージが表れる。ぎこちない動作音は、現前の事象にリアルな説得力を添える。《庭園にて》は、1981年より制作されているネズミとクマが登場する映像作品のひとつ。日本庭園で小さなネズミとクマが虫を眺め、苔の感触を肌で感じ、確かめ、巡り、眠る様子が続く。本作と別作品の模型や物音など全てスタジオにあったものから作られた立体《クリン クロン ロック》は、2012年当館主催の展覧会「ソンエリュミエール、そして叡智」にて、同一空間にあるべきという作家の提案により新たな作品の在り方が示された。

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