© TSE Su-Mei

エコー

作家名(日)ツェ・スーメイ
作家名(英)TSE Su-Mei
制作年2003
素材・技法ヴィデオ・プロジェクション、音
サイズ4分54秒ループ
著作権表示© TSE Su-Mei
収蔵年2011
受入方法購入
解説1973年ルクセンブルク生まれ、ルクセンブルク、パリ(フランス)在住。

幼い頃より音楽とともに生きてきたツェ・スーメイは、音楽演奏の核である、身体、音、技術、自己を取り巻くあらゆる事象との関わりや融合にみる世界を起点に、多様な作品群を生み出している。映像作品において音楽的要素が直接的に表される一方で、彫刻、インスタレーションといった手法の作品においても、素材、自己、技術、対象の融合から生み出される世界、形に焦点が当てられている。このような世界像を根底に据えながら、近年では野外での公共彫刻も手掛け、多様な制作活動を展開している。

《エコー》では、壮大な山々を前にツェ自身がチェロを奏でる姿が映る。音は大自然と対話するかの如く響き渡る。エコーはチェロの反響でありながら、単純なやまびことしては捉え難い。作家自身の演奏音が不規則な予測不可能なものとして自然の中で反復、増殖する一方、演奏者自身や我々の想像を超えるような音が、山そのものから発されているようでもある。作家の身体、チェロ、奏でる音、技術、荘厳な山々などが結びつき、鑑賞者を未知なる世界へと誘う。《ヤドリギ楽譜》の画面には、長い冬をひっそり生きる木々とそれらの枝に生息するヤドリギの景色が映し出される。やがて風景は、まるで鑑賞者が自然の中を歩いているように動き始め、静謐な冬景色と共鳴するかのような音楽が流れ始める。木々の枝には音符のようなイメージがヤドリギのように現れる。これらは奏でられている音楽の対旋律の音の高低と呼応した楽譜のようにも捉えられる。壮大な自然に潜む音楽に遭遇するかのような感覚、音、自然、そして人間といった事象が融合した世界像が提示されている。

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