photo: SUEMASA Mareo

百科全書(パリのヴァル・ド・グラス教会の大理石の床の図面)

作家名(日)ギジェルモ・クイッカ
作家名(英)Guillermo KUITCA
制作年1999
素材・技法ミクスト・メディア / リネン
サイズH197.2 × W159.6cm
著作権表示© Guillermo Kuitca
収蔵年2001(作品購入年月日:2001/03/30)
受入方法購入
解説1961年ブエノスアイレス(アルゼンチン)生まれ、同地在住。

6歳から絵画を始め、絵画と舞台の両方を手掛け、ドイツ人振付家ピナ・バウシュやホルヘ・ルイス・ボルヘスの影響を受ける。ベッド、地図、建物の図面、劇場等による空間表現を繰り返し題材として取り上げ、1989年には何台もの子供用のベッドに地図を描いたインスタレーションで高い評価を得る。不在と実在、現在と過去、フィクションと現実との境界を曖昧にし、人間の存在の私的な領域と公的な領域が転置、合流、分離する交差を捉えようとする。2007年にヴェネツィア・ビエンナーレで発表された作品では、近代絵画史に言及するなど新たな領域を開拓している。

「ノイフェルト組曲」シリーズはドイツの建築家エルンスト・ノイフェルトによる『建築設計大事典』に着想を得て、1998年から1999年にかけて制作された連作。建築平面図の柱や壁といった構造部分を描かず、家具、機械等、建物内に配されるもののみが描かれている。青という単色の色彩の彩度と相まって、極度に抽象化されたイメージは、外と内といった区画から解放され、拡散する。「百科全書」シリーズはフランスの啓蒙思想家ディドロとダランベールにより編集された『百科全書』(1751–1772年)に掲載された図面を下敷きにした連作。白の下地が塗られたカンヴァスに、水彩鉛筆で平面図と大理石の床の模様を忠実に写し取り、水でぼかす。あるいは印画紙に図面を印刷した後、溶液で溶かすことにより、図面は粉々に解体される。ギジェルモ・クイッカはこれを「スローモーションのアクション・ペインティング」と喩える。このようにクイッカは、計算、測定され精巧な図面という確実なものを絵画空間に置き換えることにより、恣意に富み、不条理で捉えようのないものにする。

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