© Thomas Struth, 2018

パラダイス09、西双版納、雲南省、中国 1999

作家名(日)トーマス・シュトゥルート
作家名(英)Thomas STRUTH
制作年1999
素材・技法発色現像方式印画
サイズH269.5 × W339.5cm(フレーム)
著作権表示© Thomas Struth, 2018
収蔵年2000
受入方法購入
解説1954年ゲルデルン(ドイツ)生まれ、ベルリン(ドイツ)、ニューヨーク(米国)在住。

当初画家を志し、デュッセルドルフ芸術アカデミーでゲルハルト・リヒターのもとで学ぶ。その後、写真を撮り始め、1976年同アカデミーに開設した写真科へ移籍、ベルント&ヒラ・ベッヒャーに師事。都市の街路、家族の肖像、歴史上の名画とその前に佇む鑑賞者のいる美術館空間などを大型カメラで撮影、制作している。様々な場所や状況をある一定の視点と法則に落とし込む撮影手法により、内包される感情、文化、社会とそれらの差異、さらには、被写体と写真家、作品と鑑賞者といった多重の関係性を浮き彫りにする。

「パラダイス」は1998年に始まる、オーストラリア、日本、中国等の密林をモチーフにしたシリーズ作。ほぼ全体を植物というおびただしい情報で均質に埋め尽くされた画面を前に、見る者の思考や感情は焦点が定まらず拡散していく。そうして、写真により切り取られた、圧倒的な存在の静止した時空間と、それを「見る」という行為に臨む自分自身を意識することになる。トーマス・シュトゥルートが「静寂の時と内面的な対話へと導く、なにもない空間を提示する」と述べるように、ここでは、静寂の中で自己の内面と向き合うことが促される。このように本シリーズは、知覚の本質を問い、写真制作を始めた当初よりシュトゥルートが一貫して探求し続けている「無意識の場」をより明確に表す作品といえる。

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