© Gabriel OROZCO

ペンスキー・プロジェクト3

作家名(日)ガブリエル・オロスコ
作家名(英)Gabriel OROZCO
制作年1998
素材・技法チバクローム
サイズH40.6 × W50.8cm
著作権表示© Gabriel OROZCO
収蔵年2002
受入方法購入
解説1962年ベラクルス(メキシコ)生まれ、メキシコシティ(メキシコ)、ニューヨーク(米国)在住。

写真、ドローイング、彫刻、映像、インスタレーション等、多岐にわたるオロスコの作品は、既成のものに手を加え、変形し、日常のありふれた光景に介入していく手法をとる。新聞やスポーツ雑誌の写真に幾何学的なパターンを重ねた作品、骸骨の全面に市松模様を施した作品、車を縦に切断してひとり用の車に組み替えた作品等、既存の秩序を転換し、もの・ことの間に時空を超えた意味や繋がりを見出す。数学を学び、建築にも造詣が深いガブリエル・オロスコは、宇宙に存在する一切のものの連なりの秩序を独自の視点で捉え直す。

既成の物事や状況にわずかに変更を加えたり、幾何学的要素をもって介入したりするオロスコの制作姿勢は、1996年にロンドンの「エンプティ・クラブ」展で発表された「アトミスト」シリーズに顕著である。スポーツ紙面の写真を切り抜き、円を基軸としたパターンを配した本作は、古代ギリシャの哲学者デモクリトスの原子論(アトミズム)に由来する。《ピン=ポンド・テーブル》はゲームに着目するオロスコの代表的な作例。卓球台はクローバーの形のように4方向に開かれ、中心の窪みには、水が張られ、蓮の花が浮かべられる。従来のゲームに新たな形が加えられることにより、ルールの発見と体験などの鑑賞行為自体が作品の創造と密接に関わる。このことは、笹の葉の付いたゴムボールが天井から吊られた作品《バンブー・ボール》における、鑑賞者の眺め歩く行為が作品を揺り動かすという仕組みにも共通する。現実への鋭い洞察力と卓越した造形感覚は、ドローイングや写真作品にも見られる。オロスコの表現は、日常を創作の場とする姿勢を象徴的に示し、思考、造形プロセス、表現の形、鑑賞行為の中に新たな関係性や視座を見出そうとする。

PageTop