© Rosemary LAING

フライトリサーチ #9

作家名(日)ローズマリー・ラング
作家名(英)Rosemary LAING
制作年1999
素材・技法発色現像方式印画
サイズH61.7 × W61.7cm
著作権表示© Rosemary LAING
収蔵年2000(作品購入年月日:2000/09/27)
受入方法購入
解説1959年ブリスベン(オーストラリア)生まれ。シドニー在住。

画家としての修練を積んだ後、1980年代からコンセプチュアルな写真作品とパフォーマンスの発表を開始する。オーストラリアの広大な自然や機械文明の産物たる空港や機内を舞台として躍動感溢れるパフォーマンスを撮影した、パノラマを想起させる大型の写真作品がその代表的な作風である。ローズマリー・ラングは自らの思い描く壮大なプランを、天体物理学者や風景写真家、さらにはスタントマンや航空会社といった多様な分野の専門家の協力によって実現していく。

シドニー近郊のブルーマウンテンズ上空にて撮影された、女性が浮揚している写真シリーズの2作品。ラング自らが言及する「どっちつかずの状態」が、無垢からの変化を暗示する花嫁の衣装、ほのかに染まった地平線が象徴する時間、そして空と地平の中間たる場面などで実現されている。デジタル処理は一切されず、「飛行」という字義がまさに示す瞬間をスタジオ写真のような精緻さで留めた本シリーズは、特にマルセル・デュシャンによる《階段を下りる裸体》や《花嫁》などのシュルレアリスムや未来派の系譜に連なり、さらには写真というメディアの特性を活かして躍動感や文明社会の成果たるスペクタクルを一層強調している。また、1980年代以降に隆盛した映画のように綿密な舞台設定と演出効果によるコンセプチュアルな作風の一翼を担っている彼女の写真表現は、その中でも最も動的で壮観なもののひとつだ。ラングはブルース・ナウマンの《Falling to Levitate in My Studio》(1966年)に最も影響を受けたと述べ、身体が引力に抗う状況と現実からの跳躍という2点に、その強い影響が窺える。

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