photo: SAIKI Taku

伝播

作家名(日)ジュゼッペ・ペノーネ
作家名(英)Giuseppe PENONE
制作年1995-1997
素材・技法パラフィン、ガラス、紙、インク、アクリル、水
サイズH22 × W100 × D1200cm
著作権表示© Giuseppe PENONE
収蔵年2000(作品購入年月日:2000/03/31)
受入方法購入
解説1947年ガレッシオ(イタリア)生まれ、トリノ在住。

1960年代末からイタリアを席巻した美術運動「アルテ・ポーヴェラ」を牽引するひとりとして、今日に至るまで活躍。自然界の粗野な素材をそのまま作品へと用い、その内に隠匿された自然そして人間、特にその身体との関係性をしなやかに提示し、顕在化させる手法で知られている。日本では、「人間と物質」展(東京都美術館、1970年)で初めて紹介された。2004年にはポンピドゥ・センターで、2007年にはヴェネツィア・ビエンナーレで大規模な展覧会が開催され、高い評価を受けている。

10枚のパラフィン板が床に1列に並んでいる。最初の1枚には薄い凹みがあり、その中央に作家の指紋が押された素描が閉じ込められ、上を水が覆っている。パラフィン板の上を満たす水はガラスの樹幹へと姿を変えて、奥へと長く延びる作品の全体を繋いでいく。作家の指紋が芸術における創作行為の隠喩であり、そこを源泉として作品が生まれ広がっていくかのようだ。パラフィン、ガラス、水、そのいずれもが可変的な性質を有するが、ここではガラスとパラフィンは固着し、水のみが微細に環境に反応することによって、環境や自然の移りゆく刹那的な様子がその対比をもって一層明らかとなり、人間の作為を通してそれらの本質を浮かび上がらせることに成功している。

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