photo: YANAI Shino

わたしは人類(ver. 金沢)

作家名(日)やくしまるえつこ
作家名(英)YAKUSHIMARU Etsuko
制作年2017
素材・技法ミクスト・メディア
サイズサイズ可変
著作権表示© 2017 Yakushimaru Etsuko
収蔵年2018
解説アーティスト/音楽家。音楽プロジェクト「相対性理論」などを主宰。ロボット工学、生物学などの専門家と協働し、人工知能や生体データを用いた作品を制作したり、独自のVRシステムや9次元楽器「dimtakt」を開発したりするなど実験的な制作活動を展開。近年は、タンパク質の立体折りたたみ構造を詩と音に対応させた《タンパク質みたいに》や、微生物の遺伝情報から作曲した楽曲を塩基配列に変換してDNAに組み込んだ《わたしは人類》など、バイオテクノロジーと芸術を横断する表現を発表。2017年、《わたしは人類》にてアルス・エレクトロニカ「STARTSPRIZE」部門グランプリ受賞。

《わたしは人類 ver. 金沢》は、「人類滅亡後の音楽」をコンセプトにバイオテクノロジーを用いた新しい音楽の生成・記録を探る試みであり、冷蔵庫内に保存された遺伝子組み換え微生物、やくしまるえつこの歌う楽曲、そして映像によって構成される。本作では、まず微生物の塩基配列(code)の一部からDNAを音楽の和音(chord)に変換するための特殊な暗号表が作られ、その暗号表に基づいて生成した楽曲データを同様の暗号表に基づき、遺伝子組換え技術によって微生物のDNAに保存した。さらに、冷蔵庫内の微生物の生存数がコンピュータでシミュレートされ、その数によって音質が変化するようになっている。 人類誕生以前から存在し、おそらく人類滅亡後も存在し続ける微生物のDNAに楽曲データを保存することで、作家は、「いつか人類が絶滅した後、新たな知的生命体が現れ、想像を超えた方法で本作を読み解くかもしれない」という可能性を提示している。本作は、DNAをメディアとみなし楽曲データを保存した世界初の試みであり、21世紀のバイオアート黎明期における初期の実験作と位置づけられる。

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