金沢21世紀美術館:空虚部門

作家名(日)ベンアンドセバスチャン
作家名(英)benandsebastian
制作年2017
素材・技法ガラス、皮、木、紙、布
サイズサイズ可変
著作権表示© benandsebastian
収蔵年2018
解説ベン・クレメント:1981年オックスフォード(英国)生まれ、ベルリン(ドイツ)、コペンハーゲン(デンマーク)在住。
セバスチャン・ド・ラ・クール:1980年コペンハーゲン生まれ、ベルリン、コペンハーゲン在住。

ベンアンドセバスチャンは、2006年にベン・クレメントとセバスチャン・ド・ラ・クールによって結成されたアーティストデュオである。彼らの作品は、思考体系におけるギャップやパラドックスをめぐる継続中の会話を前提として、インスタレーションの形式をとり執拗に複雑な細部をもつ機械劇場や建築の断片、施設用家具などの集合によって具現化される。彼らは、例えば失われた物や壊れた人工物、あるいは排除された物語といった非存在が、いかに疑うことを奨励し、歴史にまつわる新しい考え方を開く可能性を持っているかに深い関心を寄せている。

《金沢21世紀美術館:空虚部門》は、ベンアンドセバスチャンがコペンハーゲンのデザインミュージアムで見つけた、由来も機能も不明なケースにインスパイアされて制作された。12のオブジェクトからなる本インスタレーション作品は、この世の中における実在するが空虚なもの、あるいは不確かだが確かにあるものの存在を、見る者にあらためて意識させる。また、それぞれのオブジェクトには「才能の証明」「偏見の証明」などの題名と、失われた内容物の可能性を示したと思われる不可思議な説明文が付されているが、見る者は皆それらの謎を共有して、解き明かされることのない、もしかすると存在すらしない答えに想像を膨らませ、それぞれの物語を創出する。本作品における「存在」「非存在」の関係と「真正」や「オリジナル」についての探求を「代用品」によって示すという作家のアプローチは、「文脈」を内包することを重要視する現代美術の思考における強い傾向を示している。

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