
photo: KIOKU Keizo
無題
作家名(日) | 小西紀行 |
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作家名(英) | KONISHI Toshiyuki |
制作年 | 2016 |
素材・技法 | 油彩 / 紙 |
サイズ | W21.8 × H31.2cm |
著作権表示 | © KONISHI Toshiyuki |
収蔵年 | 2017(作品購入年月日:2017/03/31) |
解説 | 1980年広島県(日本)生まれ。 2007年に武蔵野美術大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。自身の家族を中心とした身近な関係にあ る人々のスナップ写真をもとにデフォルメした人物像を描く。人物が一部背景に溶け込むなど、元の写真からは遠く離れ、人物を特定することはできないが、ポーズや配置によって関係性が浮かび上がってくる。これまで発表された作品は全て「無題」とされ、作家の親しい人たちとの個人的な関係が社会における人間関係の普遍性に重ね合わされている。筆致の抽象性と、指や布で消された曖昧なストロークとの交錯が多様な感性的な解釈を生み出している。小西の描く人物像は、家族をモチーフにしながらも、家族の支配や生産といった関係でも暴力や性愛といった関係でもな く、スキンシップのような軽い身体の関わり合いに見える。それらは「公的」・「私的」領域の中間にある関係性として曖昧さを保っている。 ゴヤの「黒い絵」シリーズ《我が子を食らうサトゥル ヌス》の人物配置を参照している作品において、小西は古典絵画の画題を「繰り返し起こるもの」と考え、 形や意味を変えながらも連綿と現代につながる題材と考えている。この絵は、我が子が愛おしすぎて手や足を口内に収めたくなる癖のある母親の心の働きと、 実際の行為としては異常となるようなことを同時に感じさせる。個人的な人間関係を他者にとっても意味のある関係性にまで普遍化し、関係の境目を考察していく小西の姿勢は、きわめて重要で現代的なテーマをめぐる探求といえる。小西は紙作品のドローイングを「実験的なプラットフォーム」と捉え、さらに主題を発展させるためにカンヴァス地のペインティングを描いており、平面作品の強度を保つという絵画表現の可能性に取り組んでいる。 |