photo: KIOKU Keizo
これはうさぎです
作家名(日) | ギムホンソック |
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作家名(英) | Gimhongsok |
制作年 | 2005 |
素材・技法 | 繊維、樹脂、スポンジラバー、木製板 |
サイズ | うさぎの着ぐるみ:H45 × W90 × D193cm、ピケット:H55 × W79cm |
著作権表示 | © Gimhongsok |
収蔵年 | 2017(作品購入年月日:2017/03/31) |
受入方法 | 購入 |
解説 | 1964年ソウル(韓国)生まれ、同地在住。 ギムホンソックは、現代社会に対する批判的なまなざしによってドローイングや彫刻、映像などの多様なメディアで作品を制作する。異なる文化背景や社会階級の人々の間に生じる労働、教育、格差、倫理などの問題を、架空の社会を創造し、ユーモラスかつアイロニカルに表現する。既成概念を逸脱し、あらゆる分野に通底する無意識の悪、思考の欠如について、時には模倣や参照、翻訳という手法を通して鑑賞者に鋭く問いかける。 《パブリック・ブランク(金沢バージョン)》は公共空間に非現実的なパブリック・アートの設置を提案する作品であり、ユーモアを交えた独自の解釈で描き起こしたドローイングと、英語と日本語のテキストが組になっている。テキストは作家の母国語である韓国語によるものを英語に、次に日本語に翻訳し、作家本人が手書きしたものである。度重なる翻訳によってオリジナルが変容していくことは、作家の長年の関心事のひとつである。《これはうさぎです》は、横たわるうさぎの着ぐるみとテキストがセットになったインスタレーション作品である。テキストには、この着ぐるみに不法滞在の労働者が入り、美術館でパフォーマンスをしているということと、パフォーマンスに対して給料が支払われているということが書かれている。雇用と労働の関係が、きわめてシンプルに提示されている一方で、対価を支払えばどのような関係も可能にするのかといった、「倫理」についての問いかけも含まれている。本作で作家が提示する移民と不法滞在に関わる問題は、韓国と北朝鮮とに二分されている朝鮮半島を出自にもつ作家自身の切実なスタディの延長にあるとともに、グローバル社会に共通する課題でもある。 |