
photo: KIOKU Keizo
龍の誕生を待つ首都
作家名(日) | チウ・ジージエ |
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作家名(英) | QIU Zhijie |
制作年 | 2008 |
素材・技法 | リトグラフ、STPI 製手漉き紙、スクリーンプリント、アクリルシート |
サイズ | H128 × W102.5cm |
著作権表示 | © QIU Zhijie |
収蔵年 | 2017(作品購入年月日:2017/03/31) |
解説 | 1969年福建省(中国)生まれ。 1992年杭州の浙江美術学院版画科を卒業。幼少の頃から書、篆刻、水墨画を学び、中国の伝統文化への理解を素地にした作品に最大の特徴が見られる。文化大革命の時代に幼少期を過ごし、青年期に1989年の天安門事件を経験したことが作品に強い影響をもたらしている。 チウ・ジージエはリゥ・ジェと共同で行った「Long March Project」(2002年–)において、中国史上重要な長征(1934–1936年)の道程を辿り、展覧会やリサーチを開催しながらその地図化を試みた。以後もテーマごとに「地図」を作り、場所や出来事の関係性を明らかにし世界を俯瞰する作品を提案している。《世界庭園地図》は、縦約4メートル、幅27メートルにわたる壁全面に、世界各地で歴史的に重要と考えられる庭園をチウが再構成して描いたものである。紙幅を最大限に活かし、池、石、橋、亭、木の五要素を組み合わせた中国の園林文化を背景に、西洋や日本の庭園を描き込む。実用とシンボル、形象と知識の間をつなぎ、個人の知識を他者の実用や経験に役立てる哲学的信念を体現している。《金陵劇場役柄の肖像》は、チウが古典風俗の巻物《上元灯彩図》(明代)を模写し、 金陵(南京の古称)の小正月の街の景色に様々な注釈を加え、全136枚のドローイングへと展開した画本。 木版職人の高度な技術と洒脱が効いた文章を組み合わせた、チウ・ジージエ版の《上元灯彩図》である。《一字一石・成敗》は、金沢市寺町の承証寺にある幕末の武士・福岡惣助の墓に、彼の母が納めた一字一石経(石に1文字ずつ経典を写経したもの)の供養塔があったことに着想を得た。本作に使われた文章は、1898年に日本に亡命した政治家・学者、梁啓超による『自由書』からの「論成敗」。清での改革運動を経て、明治維新後の日本で言論運動を展開した梁が、期待しなければ成功を、恐れなければ失敗を感じることはないと、大事に対しての覚悟を記した文章である。1文字ずつ600以上の文字を篆刻した石は、ばらばらに分散させて展示される。 |