photo: SAIKI Taku

象嵌朧銀花器「朝凪海」

作家名(日)中川衛
作家名(英)NAKAGAWA Mamoru
制作年2000
素材・技法銅、銀、金、赤銅
サイズH23 × W29 × D20cm
著作権表示© NAKAGAWA Mamoru
収蔵年2000
受入方法購入
解説1947年石川県金沢市(日本)生まれ、同地在住。

金沢美術工芸大学で工業デザインを学び、1971年の卒業後、就職先で工業デザイナーとして新商品のデザインを任されていたが、1974年に帰郷する。金沢で加賀象嵌作家の高橋介州に師事し、平象嵌を駆使する精緻な加賀象嵌の技法を研鑽。中川は工業デザイナーであった経験から、器体のデザインから象嵌までの全工程を手掛ける。金属の色味の差を用いて描き出す階調は、単色が主流だった加賀象眼の世界に新境地を開拓した。2004年、彫金で重要無形文化財保持者に認定される。

《象嵌朧銀花器「朝凪海」》は、朧銀という銀と銅が1対3の割合の日本独特の地金を鋳造した器体に、板状の赤銅と銀の二重象嵌の上に金、銀、赤銅を蝋付けし、穏やかな海を表現している。銀灰色の美しい光沢を持つ胴の有機的な形態に、朝凪の海面に差し込む太陽光の色彩の変化を、異なる光を放つ金属の蝋付けと金の象嵌で見事に描写している。また、金の線象嵌が絵画的な奥行きとリズム感を表し、銀灰色の器体との好対比を示している。風景の中の一瞬の現象や時間の移ろいを強調し、心象の景色に共鳴する造形世界を生み出している。

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