photo: SAIKI Taku

私の偉大な物語:理念の肖像

作家名(日)イ・ブル
作家名(英)LEE Bul
制作年2005
素材・技法エナメル・コーティング / ファイバーグラス、ステンレス・スチール製土台
サイズH119 × W130 × D120cm
著作権表示© LEE Bul
収蔵年2007(作品購入年月日:2007/8/31)
受入方法購入
解説1964年ヨンジュ(韓国)生まれ、ソウル在住。

1980年代後半から作品発表を始める。身体的アイデンティティに関わるパフォーマンスから始まり、磁器、バルーン、生魚など様々な素材を横断的に用いた立体作品も発表してきた。美術史や神話上の伝統的な図像、大衆性のあるモチーフを、作家本人の個人的経験や想像といった多様な要素と織り交ぜることによって、文化や時代を超える新たな世界を創出している。また、ポリウレタンやステンレス・スチールといった現代的な素材も取り入れ、機械と有機体との融合を示すような作品を生み出している。

《セイレーン》はギリシャ神話に登場する上半身は女、下半身は鳥の姿をした海の精「セイレーン」を源泉とする作品。神話では、その美声で船乗りを魅了し、多くの船を難破させたとされる。イ・ブルは、この図像から出発し、全く新たなイメージを作り出す。アルミニウムの骨組みにポリウレタンを施し、エナメルでコーティングするという非常に現代的な技法により、複雑な有機的フォルムが完成している。一方で、ギュスターヴ・モローが描くサロメを由来とする《出現》は、クリスタル、ガラスビーズ、ポリウレタンなど様々な素材によって作られた作品である。また、「サイボーグ」という人間によって作られた有機体と機械の結合を意味する概念は、イ独自の表現言語によって《サイボーグ W8》に姿を変える。このようにイの作品の多くは、歴史、美術史、神話などにおいて継承されている伝統的な図像やテーマを取り入れ、これらのテーマに個人的経験や想像を織り交ぜながら、文化や時代も横断する壮大な世界である。

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