photo: SUEMASA Mareo

日本趣味解題ー閉ジタ媚態、既ニシテ

作家名(日)中村錦平
作家名(英)NAKAMURA Kimpei
制作年2000
素材・技法陶土(台座:金属フレーム)
サイズH105 × W70 × D60cm (台座:H130 × W90 × D90cm)
著作権表示© NAKAMURA Kimpei
収蔵年2000(作品購入年月日:2000/09/27)
受入方法購入
解説1935年石川県金沢市(日本)生まれ、東京都在住。

一貫して陶表現を追究しながら、既成の価値体系に対する批評を展開する中村錦平は、小学4年生当時に体験した第二次世界大戦敗戦が自分の批評精神の起点であるとする。1955年、金沢美術工芸大学中退。割烹「中嶋」で北大路魯山人の器と料理について研究。1960年代、滞在したアメリカの現代陶芸の動向に影響を受ける。さらにその批評眼を、茶陶の窯元、中村梅山の長男という自身の境遇へも向け、1988年「東京焼窯元」を名乗る。伝統的価値から切り離されたニュートラルな電気窯と市販の陶土による創造を謳い、1993年には個展「東京焼・メタセラミックスで現在をさぐる」を実施。


中村錦平は、陶芸の領域を支える地場産業と密着した土や釉、窯、機能美といった伝統的な技と素材にまつわる価値観を疑い、否定する造形行為の中で、新たに浮き彫りになる日本の伝統的なるものを「日本趣味」と捉え批評する。当館は、中村の仕事を代表する「日本趣味解題」シリーズの2点を所蔵している。岩のような塊を土台に、時に型作りによってリアルに、時に手捻りによってアルカイックに、石、木の枝、ホース等の様々なモチーフが投げ込まれ、盛りつけられたかのような風情を呈する異様なオブジェは、金や赤が刺激的に施され、「不慮デハナイ、不敬ナ不始末」「閉ジタ媚態、既ニシテ」といった副題と相まって扇動的でさえある。「日本趣味解題」シリーズは、1988年に自らの陶表現を「東京焼」と命名する契機となったことからも、作家の表現活動の核を成すものである。

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