© Bojan Šarčević
灌漑ー肥沃化
作家名(日) | ボヤン・シャルチェヴィッチ |
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作家名(英) | Bojan ŠARČEVIĆ |
制作年 | 1999 |
素材・技法 | ヴィデオ(ベータカムSP)、オフセット・プリント |
サイズ | ヴィデオ:8分40秒 オフセットプリント:H59.4 × W84.1cm(12点) |
著作権表示 | © Bojan Šarčević |
収蔵年 | 2000(作品購入年月日:2000/09/27) |
受入方法 | 購入 |
解説 | 1974年ベオグラード(旧ユーゴスラヴィア、現セルビア)生まれ、ベルリン(ドイツ)、パリ(フランス)在住。 サラエボに住んでいた1992年にボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が勃発し、母国を離れ、アムステルダムとパリで美術を学ぶ。石鹸でできたシーツの上をのたうち回る様子をヴィデオで撮影した作品や、自動車修理工等の労働者たちに休暇の衣服で作業をしてもらった後の汚れた服を展示するインスタレーション等、日常の営みに身近な物事、関係や状況に僅かに変更を加えることで、人間の存在の本性、隠蔽された文化や社会の矛盾を浮き彫りにする。近年は構成主義を想起させる抽象的フォルムに着目し、性質の異なる素材と形式を組み合わせ、それらの相互作用により新たなロジックが生成される可能性を探求している。 映像は男の足の部分のみ映されていて、男の靴からはとめどもなく水が溢れ続ける。男の動きと時折聞こえる機械音から、この男は、ひとつの機械で作業をしては別の機械へ移動し、一連の工程を進めているようである。男が一歩踏み出しては水が跳ね、男の足跡は即興的な形を描きながら乾いたコンクリートの地を満たしていく。この映像とともに、水の軌跡の全貌を様々な位置から俯瞰した写真ポスターが展示される。無個性に淡々と流れ作業をこなす行為が、水流という要素が挿入されることにより、ジャクソン・ポロックのアクション・ペインティングを彷彿させるような創造行為へ飛躍する瞬間、あるいは既成の物事の超越の瞬間を端的に捉え、留めた作品である。ありふれた状況や単純な動作の繰り返しにより、不条理な方法で日常の場に新たな創造性を見出そうとするボヤン・シャルチェヴィッチの初期の活動を代表する作例である。 |