無題

作家名(日)デミアン・ハースト
作家名(英)Damien HIRST
制作年2000
素材・技法蝶、光沢ペイント / カンヴァス
サイズH213.4 × W213.4cm (ハート形)
著作権表示© Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS/Artimage 2018.
収蔵年2000(作品購入年月日:2000/09/27)
受入方法購入
解説1965年ブリストル(英国)生まれ、ロンドン、デヴォン在住。

ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ在学中の1988年、同世代の仲間を率いて「フリーズ」展を自主組織。1980年代後半、それまで停滞していた英国現代美術に旋風を巻き起こし、世界的にその存在を認知させたYBA(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)現象の中心的存在である。牛や鮫等、動物の死骸を輪切りにし、ガラスの水槽にホルマリン漬けにした作品や、錠剤を用いる等医学的要素を取り込む作品を制作。荒々しくも静謐で、残虐さと美が共存し、矛盾や重層性を孕んだ作風は、人間の存在の根源的な問題を扱っている。

1991年の個展「愛の内と外」以降、デミアン・ハーストは、蝶を用いた絵画を継続的に制作している。同展では、1階に蝶の死骸を貼り付けた絵画が展示され、2階では、白いカンヴァスに取り付けられた繭から孵化した蝶が展示空間を舞い、卵を産み、そして死に絶えるという生のサイクルが展開され、床に大量の蝶が散乱した。「死は美しいものに見えうる」というハーストの考えは、《無題》においても表現されている。愛や生を表すハート型の形体を持ち、艶やかなピンク色のカンヴァス上に羽の一部が溶け込むように複数の蝶の屍が貼り付けられた本作品は、生物の死骸というイメージが引き起こす衝撃と色鮮やかな蝶の屍の美しさが混在する。本作には、死という逃れ得ない事実を突きつけることによって生命の躍動感を喚起させるハーストの姿勢が窺える。

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