photo: SUEMASA Mareo

何がいやなのか?

作家名(日)グレイソン・ペリー
作家名(英)Grayson PERRY
制作年2006
素材・技法
サイズH145 × φ60cm
著作権表示© Grayson PERRY
収蔵年2007
受入方法購入
解説1960年チェルムズフォード(英国)生まれ、ロンドン在住。

1980年代半ばから、暴力、偏見、性的抑圧、文化や信仰、自己とは何であるかといった諸テーマに関し、ユーモアやファンタジーを交えつつ、鋭い視点で捉えた作品を制作。ペリーが手掛ける陶芸作品では、古典的な形の壺の表面に描き重ねた現代的主題と、豊かな色彩や装飾との重層的な絡まり合いが見る者の想像を膨らます。陶芸のみならず、彫刻、写真、版画から、キルトやドレスのデザインに女装という行為まで、ジャンルを超えた活動と強烈な表現内容で国際的な注目を集め、2003年には英国のターナー賞を受賞。

無邪気に遊ぶ子供たちの情景を表したかのような《敏感な子供の苦境》には、よく見ると武器や薬物を手にする少女らや、事故の現場を思わせる場面が淡々と描かれ、日常と隣り合わせの暴力や抑圧の影が浮かび上がる。様々な消費材にブランドロゴ、サッカー選手やモデルの姿が描かれた巨大な壺《何がいやなのか?》は、現代人の消費癖をきわめて豪華な装いで皮肉る。「陶芸」「壺」といった技法・形態は、一般的に親しみやすさや無害さを見る者に感じさせるが、ペリーはこのような印象を逆手に取り、自らの世界の扉を易々と開けさせ、我々を作品に対峙する位置へと引き込む。一方、《政治家のための版画》は、幅2.5メートルにわたり驚くべき詳細さで戦場風景が描かれた版画作品。人間の本性について鋭い批判精神とユーモアをもって描き出すペリーの姿勢は、いかなるメディアによる作品であっても共通する。彼はまた、自ら女装した姿をしばしば作品に表すが、民族衣装風のドレスを着て銃を構える「クレア」として登場する写真作品では、自身の身体やアイデンティティを直接的に絡めつつ、暴力など、より普遍的な社会の問題を照射する。

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