photo: SAIKI Taku

長枕のリング

作家名(日)アネット・メッサージェ
作家名(英)Annette MESSAGER
制作年2002-2004
素材・技法布、長枕、ウサギの毛皮、モーター、滑車、ロープ
サイズサイズ可変
著作権表示© Annette MESSAGER
収蔵年2007(作品購入年月日:2007/08/31)
受入方法購入
解説1943年ベルク・シュル・メール(フランス)生まれ、マラコフ在住。

アマチュア画家であった父親の影響で、アール・ブリュットや教会の奉納物に惹かれ、また、当時は周辺的な手仕事とみなされていた手工芸などを評価し直し、作品に取り入れていった。剥製や写真を用いて、生と死、ユーモアと残虐さといった物事の二面性、そしてそれらを隔てる境界の逸脱を大胆に表現する。さらに身近な材料を使用し、個人的な価値観から様々な解釈のできる道筋を作り、人間の内側に眠る感情を呼び起こす作風をとる。

《アンサンブル》は、アネット・メッサージェの作品の特徴のひとつである、ぬいぐるみを解体したものを使用した作品。布地に左右対称に広げられたキツネの剥製を縫い付けたものと、ぬいぐるみを解体し、さらにその断片を繋ぎ合わせたものが壁に貼り付けられた様は磔刑を思わせる。生と死、残虐さを想起させ、気味悪さを漂わせつつ、滑稽さも入り交じった力強い作品である。上下、左右、表裏が均質の本作品は、メッサージェの1990年代以降の手法が具体化した代表的な作品である。《長枕のリング》は機械仕掛けが作品に取り込まれ始めた時の作品。作品の中央には、ネズミのようなぬいぐるみが積み上げられ、それを取り囲むようにリングが配置されている。このリングのロープを沿って回り続けているのは、猫が眠る長枕である。大量死をも連想させる中央のネズミの積み重なりと猫の眠りという対照的なイメージの共存は、安息と恐怖、生と死の連鎖を示唆しながら、抑圧、暴力といった人間の存在の根源をも暗示する。さらに、長枕が立てるぎこちない音は、我々を意識の奥へと誘い込む。

PageTop