photo: NAKAMICHI Atsushi / Nacása & Partners

Voyage of the Moon (Resting Moon) / Voyage of the Moon

作家名(日)奈良美智+graf(現:YNG)
作家名(英)Yoshitomo Nara + graf
制作年2006
素材・技法ミクスト・メディア
サイズH476 × W354 × D495cm
著作権表示© Yoshitomo Nara + graf
収蔵年2006
受入方法購入
解説暮らしに関わるあらゆるものづくりに取り組むクリエイティブ・ユニットgraf のスペースにおける展覧会「S. M. L.」を機に、奈良美智と豊嶋秀樹を中心に2003年から2010年まで共同制作活動を行う。構造体には主に制作地、展覧会開催地で集められた廃材が使用され、大型の立体作品を制作する時には、ボランティアが携わることもある。小屋の内部は奈良のアトリエのように見立てたドローイング・ルームとして奈良が好み集めたオブジェが作品とともに配される。2006年にはそれまでの活動の集大成として「Yoshitomo Nara + graf A to Z」展を奈良の出身地・弘前で開催。国内外で活動を繰り広げ、ドローイング・ルームを備えた小屋は世界各地に拡散しつつある。

2006年、当美術館にて開催された奈良美智展「Moonlight Serenade ―月夜曲」のために制作・発表された作品。2003年から共同制作してきた小屋が現実的な形状であるのに対し、《Voyage of the Moon (Resting Moon) / Voyage of the Moon》は、奈良がスケッチで描いた手描きのラインがそのまま立体化し、より空想的なフォルムを持つ。「お月様が家の屋根の上で休憩している」と奈良が述べるように物語的要素が強く、共同制作における表現の中でも転換期といえるような特異な作品である。家の内部は、彼にとって「作品を一番見せたい環境」であるドローイング・ルームであり、描きかけの紙、散らばった色鉛筆、たばこの吸い殻が無造作に置かれ、奈良が制作時に好んで聴く音楽が流れる。穏やかな表情の月にあたかも守られながら奈良の制作空間が佇む本作品は、現実世界と空想世界が融合した奈良の独特な世界観を総合的に表している。

PageTop