photo: SAIKI Taku

ZONE II

作家名(日)秋山陽
作家名(英)AKIYAMA Yo
制作年1991
素材・技法黒陶、鉄
サイズH97 × W158 × D102cm
著作権表示© AKIYAMA Yo
収蔵年2006(作品購入年月日:2006/03/31)
受入方法購入
解説1953年山口県(日本)生まれ、京都府在住。

ひび割れが生じた黒陶による独創的な表現の確立を皮切りに、秋山陽は、大地の在りようそのものをテーマとしながら黒陶や高火度焼成による陶の造形表現を開拓し、国際的に高い評価を受ける。黒陶では、ひび割れた地表さながらの様相を呈した板状の陶による「準平原(Peneplain)」と名付けられた一連の作品を発表してきた。このシリーズは表面から内部の充足へと向かい、球体の完成に至って完結をみる。以降、秋山は焼成方法や表現の形式を変えつつも、一貫して土の塊との対話の中で大地の多様な在りようをえぐり出し、提示し続けている。

球、円筒、円錐などに成形した粘土の表面をガスバーナーであぶり、ひび割れを生じさせ、一定のリズムを刻むように秩序をもって亀裂を走らせた粘土片を成形し、空間に立ち上げる。さらに表面を丹念に磨き上げて光沢を生み出した後、窯で焼成する。窯の中で燻(ルビ:いぶ)され、煙の炭素が土肌に吸着することによって生じる深い黒は黒陶の特徴である。半球と円錐が合体し、互いに均衡を保ち支え合う作品《ZONE II》は、重力、振動、リズム、内部と外部そして表裏の生成や領域の在り処を我々に考えさせる。本作品は、秋山の黒陶表現のひとつの帰結を示しながら、以後に続く「地質時代(Geological Age)」「Oscillation」「境界・系(Border・System)「Meta-Void」といったシリーズにおいて、より一層思索を深め、ダイナミックに展開される、秋山独自のキー概念を暗示する作品でもある。

PageTop