photo: KIOKU Keizo
定時課
作家名(日) | セシル・アンドリュ |
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作家名(英) | Cécile ANDRIEU |
制作年 | 1990 |
素材・技法 | 本6点、修正液、紙、掛け時計6点 |
サイズ | サイズ可変 |
著作権表示 | © Cécile ANDRIEU |
収蔵年 | 2000(作品購入年月日:2000/4/1) |
受入方法 | 購入 |
解説 | 1956年アルデンヌ(フランス)生まれ、石川県金沢市(日本)在住。 1980年代後半の発表当初から言葉や文字を制作のテーマとする。書物や原稿用紙をモチーフに用いることも多く、黒白を基調とする繊細で静かに張りつめた作品を制作する。言葉や文字と私たちの間にこそ真実は潜んでいる、という考えに基づき、「私の目的は、我々と言葉、我々と世界との関係を問い直す場を作ることにある」と作家は言う。コミュニケーションの不可能性も含め、言葉や文字が表現しきれない真実を再考する場を作品によって提示しようとしている作家である。 キリスト教における定時課のように毎日決めた時間に6冊の本を読み、読んだ文字は修正液で塗りつぶす、という作業の結果生まれた作品。読まれた本とは、午前6時の荒川修作+マドリン・ギンズ『死なないために』、9時のメルロ・ポンティ『眼と精神』、12時のサルトル『自我の超越』、午後3時の李禹煥『出会いを求めて』、6時のアンリ・マルディネ『芸術と存在』、9時のゲオルギー・グルジェフ『生は「私が存在し」て初めて真実となる』の6冊であった。文字を塗りつぶされた本と時計が読んだという行為を示す一方、本自体は再び読まれる可能性を失ってしまっている。しかし、その本の物質感、黒い文字が白い修正液で塗りつぶされた痕跡から、私たちは、書かれた世界と封印された世界の狭間を垣間見ることになる。 |