photo: FUKUNAGA Kazuo

身体・宇宙船・精神

作家名(日)エルネスト・ネト
作家名(英)Ernesto NETO
制作年2004
素材・技法ライクラ、アルミニウム、発泡スチロール、米、ハーブ
サイズサイズ可変
著作権表示© Ernesto NETO
収蔵年2005
受入方法購入
解説1964年リオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)生まれ、同地在住。

ゴムボールや鉄板を用いて物理や重力を意識した作品や、ライクラという伸縮性と透過性のある布を用い、鉛、発砲スチロールの粒子、香辛料を詰めた立体やインスタレーション作品等を制作。その有機的かつ官能的な形態は粘膜、内臓組織、未知の生命体を想起させる。弾力性により、中に入る物や人の形・重さで作品は自ら変形し、見る者と物体との関係をより緊密なものにする。観客と作品との相互作用を喚起する作風は1950年代末よりブラジルで広がった新具体主義運動に通じるが、エルネスト・ネトは、身体の在り方や宇宙との繋がりにより深い考察を巡らしている。

ピンクと水色のライクラを縫い合わせた巨大な細胞のような立方体は、先端に米を入れて重りとし、布がポールで上へ引き上げられる張力と重りの重力との緊張関係の中に均衡が保たれている。不安定ながらも自立したその形態は、丸みを帯び、手足のある生物のようでもある。内部に入り、縦断する血管のようなピンクの管の林を抜けると、水色の世界へと鑑賞者は導かれる。そこにある巨大なクッションに身を沈めると、視界はライクラの層に覆われぼんやりとし、不思議な親密さに包まれる。本作品は、鑑賞者が中を通り抜けることのできる「ネーブ」(ポルトガル語で「船」「宇宙船」)シリーズのひとつ。ネトは、身体こそが私たちが持つ全てであり、自身の身体を通じて自分を取り巻くありとあらゆる物、果ては宇宙を経験するという考えから、身体を宇宙船に喩える。人の肌に近い感触の布、人が食する米、草花の香り等が用いられた本作品は、身体と精神に、その世界観を、静かにそして直接的に働きかけている。

PageTop