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photo: KIOKU Keizo

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怪獣文明ーこのあえなきものに祈りて(下絵)ー

作家名(日)岸本清子
作家名(英)KISHIMOTO Sayako
制作年1983
素材・技法水性ペン、色鉛筆 / 紙
サイズH25 × W277cm
著作権表示© YASUI Mihoshi
収蔵年2007(寄付採納年月日:2007/03/28)
受入方法寄贈
解説1939年愛知県(日本)生まれ、1988年同地にて逝去。

1960年代の東京で起こった「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」に参加し、1988年に没するまでパフォーマンス活動や絵画制作を精力的に行った。常に男根主義社会の構造に対する痛烈な批判を制作の根底に据え、多様な作品群を生み出した。特に1980年代は、積極的なパフォーマンス活動やダイナミックな絵画作品の展開を通して社会批判を深化させ、さらに個の在り方や表現について問い続けた。

岸本は過去2000年の間の社会を「男性型文化支配」や「権力支配思考型文化」が蔓延するピラミッド構造と考え、そこでは人々は上に昇るため競争し、弱者は底辺に蹴落とされ存在していると認識していた。これに対し、岸本は人々が下降競争する逆三角形構造を理想的社会とし、岸本自身は「地獄の使者」として逆三角形の底に存在して他者の困難を請け負うというヴィジョンを持った。このような思想の下に、多様な作品群が1980年代に生み出された。《21c.Erotical Flying Machines―銀河の旅―》では、自らが「地獄の使者」のひとつの転化型であるピンクのバッタとな り、困難を克服しながら弱者にとっての理想郷を追い求める姿が表現され、《ホワイトマウンテンゴリラ》 では、自由や愛の象徴としての捕らわれたゴリラが解き放たれる様が描かれる。発表当時、本作と一緒に展示された《ホワイトマウンテンゴリラの唄》は、ゴリ ラに自己を投影した岸本自身の心情が綴られた歌詞として制作された。自身の主義主張を絵画のみならずセリフを伴うパワフルなパフォーマンスを通して表現した岸本にとって、言葉は欠かせない表現行為のひとつといえる。《怪獣文明―このあえなきものに祈りて―》は、家父長制社会や男根社会が現れる以前の原始的社会こそ理想世界であるという視点の下に、生き生きとした根源的な生命力が描かれた作品である。

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