photo: SAIKI Taku
No. 7 針
作家名(日) | リュック・タイマンス |
---|---|
作家名(英) | Luc TUYMANS |
制作年 | 1972 |
素材・技法 | 油彩 / カンヴァス |
サイズ | H151 × W100cm |
著作権表示 | © Luc TUYMANS |
収蔵年 | 2001(作品購入年月日:2001/03/30) |
受入方法 | 購入 |
解説 | 1958年モルツェル(ベルギー)生まれ、アントワープ在住。 1980年から1982年までアントワープ美術アカデミーで絵画を学び、1982年から1986年までブリュッセル自由大学で美術史を学ぶ。タイマンスは日常の中で彼が直接、あるいはテレビ・新聞などから間接的に目を留めた場面を対象とし、ありふれた日常風景から、政治や宗教、歴史といった壮大な題材まで、断片的に無機質に描く。また、カットアップ、クローズアップ、モンタージュなど、映画の技法を取り入れることにより、イメージの断片を再構成して絵に描き表すという手法をとる。そうして断片化した彼の絵画群は、日常に秘められたイメージの持つ、固有の、そして最も純粋な様相を現前に映し出す。 《No.7 針》は、タイマンスが油彩画を始めた初期に完成した作品である。描かれた人物の目は針穴のように点として描かれ、さらに、その像は影を伴わず、あたかも背景と同化しているような印象を与える。この《No.7 針》が、実体が希薄で閉塞感の漂う初期の特徴をよく示す一方、《二重の太陽》は大胆かつ明快な構図であり、さらにその色使い・画像のぼかしにより、幻影、浮遊感がより強調されている。また、イエズス会のシンボルである二重の太陽という題材は、同時多発テロなどの権力闘争といった現代社会への考察とも見ることができる。感情的表現を一切排除したような静寂な表現であるがゆえ、見る者に実体の捉えようのない不安定さや不安感を想起させる。 |