photo: SAIKI Taku
色絵飾箱
作家名(日) | 富本憲吉 |
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作家名(英) | TOMIMOTO Kenkichi |
制作年 | 1941 |
素材・技法 | 磁器 |
サイズ | H8.8 × W14.2 × D8.5cm |
収蔵年 | 2005(作品購入年月日:2005/03/31) |
受入方法 | 購入 |
解説 | 1886年奈良県(日本)生まれ、1963年大阪府にて逝去。 東京美術学校図案科にて建築、室内装飾を専攻。卒業を待たずにロンドンのセントラル・スクール・オブ・アーツ・アンド・クラフツに留学し、ヴィクトリア&アルバート美術館を拠点に研究を深める。帰国後、バーナード・リーチと交流を深め1913年頃より本格的に陶芸を始める。陶芸の領域において個人作家としての造形表現を追究した。常に写生から新しい模様を創出する姿勢を貫きながら、楽焼、土焼、染付、白磁、色絵の研究を経て、色絵金銀彩を確立し、近代陶芸の祖と目される。近代意識に基づく表現としての工芸、また量産を前提とする良質の実用品のデザインについて独自の理念を唱え実践した。 1941年制作の本作品は、蓋表と箱内部それぞれに大きさを変えて四弁の花が闊達な筆致で描かれている。この四弁の花は、富本憲吉の「四弁花模様」として知られる複雑で華やかなものとは趣を異にし、簡素な中に伸びやかな生命力を宿している。器物の模様の一部分に同種の模様が用いられた例はあるが、この模様が主として打ち出された作例は珍しい。1941年は、富本が四弁花の連続模様を完成した時期に相当し、また九谷を再訪して色絵磁器を制作した年でもある。色絵磁器の手法を獲得し自信に満ちた富本の意欲が、その色遣いや筆致に溢れている。生涯を通じて奈良、東京、京都に制作拠点を移した富本の、東京時代の充実した制作ぶりと、模様の創出から完成への道程を窺い知ることができる貴重な作例である。 |