photo: KIOKU Keizo
階段
作家名(日) | ソ・ドホ |
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作家名(英) | SUH Do Ho |
制作年 | 2003 |
素材・技法 | 透明ナイロン |
サイズ | サイズ可変 |
著作権表示 | © Do Ho Suh |
収蔵年 | 2005(作品購入年月日:2005/03/31) |
受入方法 | 購入 |
解説 | 1962年ソウル(韓国)生まれ、ロンドン(英国)在住。 ソウルで東洋絵画を学んだ後、1991年に絵画と彫刻を学ぶため渡米。1999年に始まる、かつて暮らした家やアパートメントを布で再現するという一連の作品には、これまでの人生において幾度となく移動を繰り返してきた自身の経験が反映されている。持ち運びできるこれらの家は文化的な垣根を超え、私的空間は個人と社会の関係性を論ずるものである一方で、必ずしも特定の場所に属するものではないことを示唆している。 《階段》は、ス・ドホがニューヨークで暮らしていた地下のスタジオとその大家が暮らす1階の部屋を繋ぐ階段を、ナイロンの布で原寸大に再現したインスタレーションである。これは、持ち運び可能で、置かれる場所の条件によって変容する空間である「ファブリック・アーキテクチャー」シリーズのひとつで、折り畳んでスーツケースに入れることができるこの家は、行く先々で簡単に広げて組み立てることができる。スはこのシリーズを通して、自身が様々な場所で得た体験や記憶を重ね合わせながら、公的な領域と私的な領域を明確に定義する境界線や場所とは何かを模索するのである。《家の中の家―1/11スケール―原型》は、スが人格形成期である幼少期を家族と過ごした韓屋(ハノク)と呼ばれる韓国の伝統家屋と、渡米後初めて住んだ異国の家であるアメリカのタウンハウスを合体させ、樹脂を積層し3次元モデルを作り上げるステレオリトグラフィという特殊技術を用いて、11分の1の大きさで再現した作品である。アメリカの家の中にすっぽりと納まる韓国の家は、過去の自分と自分を取り巻く世界、そしてその変容の過程を表している。スは自身の作品を通して、多くの人々が本当の意味で帰属する場所を失った今の社会の現状に光を当て、本来誰もが持つべき家という場所の意味を、私たちに問いかけるのである。 |