photo: KIOKU Keizo

ピンク

作家名(日)トニー・アウスラー
作家名(英)Tony OURSLER
制作年2003
素材・技法ファイバーグラス、DVD、DVDプレーヤー、プロジェクタ
サイズH90 × W97 × D50cm
著作権表示© Tony OURSLER
収蔵年2005
受入方法購入
解説1957年ニューヨーク(米国)生まれ、同地在住。

映像を立体に投影することでヴィデオ・アートの新しい地平を拓いた作家。布やファイバーグラスで作った人形に人の顔の像を投影するインスタレーションで知られている。一見、かわいらしい人形の頭に映されたリアルな人の顔が、表情豊かに何かをつぶやいている様子は、不気味であると同時にユーモアも感じさせる。様々なテクノロジーを用いながら、日常の世界を引用し、現実と非現実の境を曖昧にさせる独自の表現を展開している。

ファイバーグラスでカエルの頭の形に象られた立体に、人間の顔の目と口が投影された《ピンク》。白い円形の塊に、デフォルメされた黄緑色の人間の顔が投影された《エッロ》。口と比べ大きすぎるそれぞれの目はきょろきょろとせわしなく動き、瞬きをする。鼻はなく、大きな目玉、赤い唇、白い歯などが奇妙に強調された顔相は、ユーモラスでありながらグロテスクだ。両者がようやく聞き取れる音量でつぶやいているのは、「霧。緊迫。驚嘆。熱傷。欲望。欲望。欲望。欲望。…」(ピンク)、「無。境界。神聖な。悪魔。発見。炸裂する。…」(エッロ)といった、定まったストーリーのない、言葉の羅列である。両作品における奇妙な顔の表情と暗示的な言葉の組み合わせは、見る者の記憶や深層心理に分け入り、複雑な感情を喚起させる強い表現力を持つ。

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