photo: © Hiroshi Sugimoto

霞の幔幕

作家名(日)福本潮子
作家名(英)FUKUMOTO Shihoko
制作年2002
素材・技法藍染、麻、レーヨン紐
サイズH195 × W1100cm(2点)
著作権表示© FUKUMOTO Shihoko
収蔵年2005(作品購入年月日:2005/03/31)
受入方法購入
解説1945年大阪府(日本)生まれ、京都府在住。

京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)西洋画科卒業後、ニューギニアの民族美術の学術調査に加わったことから日本の伝統的美術に興味を抱く。帰国後、龍村美術織物研究所で勤務する中、藍染と出会う。藍を独学で学び、染めの過程に取り組む中で徐々に自身の方向性を見出した。藍染に絞りの技法を主に用いるが、グラデーションのみのシンプルな表現も多い。能や茶道などと密接に関わる空間・造形表現も数多く手掛けている。

高さ2メートル、長さ10メートルに及ぶ2枚組の幔幕(ルビ:まんまく)である。ブラシでぼかしを入れながら布を染め上げた後、針で横糸を上下に動かすことで布の表面に揺れる波のようなテクスチャーを加え、たなびく霞の中で見え隠れする山々の情景を表した。また幔幕の特性ゆえに、そして揺れ動くような藍のグラデーションによる抽象性の高い画面により、単なる自然の情景描写を越えて、時間的な奥行きや広がり、精神性を感じさせる。本作品は、2002年、香川県直島においてベネッセコーポレーションが主催する「家プロジェクト」において、写真家の杉本博司が携わった護王神社への奉納能「屋島」が演じられた際の幔幕として実際に使われた。

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