© KOIE Makiko

From the series ”P,” P-17

作家名(日)鯉江真紀子
作家名(英)KOIE Makiko
制作年2001
素材・技法発色現像方式印画
サイズH240 × W360cm
著作権表示© KOIE Makiko
収蔵年2005
受入方法購入
解説1969年京都府(日本)生まれ、同地在住。

鯉江真紀子は、1990年代より一貫して、自然のシリーズや、競馬場、野球場などの群衆を大画面に表現する写真作品を制作している。これらの作品では、客観的に対象が捉えられているというよりはむしろ、イメージのブレや重なり、繊細な諧調の色彩が用いられていることにより、心象風景のような世界が生み出されている。イメージが何層にも重なる画面には、遠い記憶の中の静寂さが漂う。

画面には群衆が映し出されている。実際に撮影されているのは、競馬場や野球場といった場所に集まった群衆であり、撮影後写真は引き伸ばされ大画面にされた。人の姿はブレて重なり、何重もの人の層から構成されるイメージが生み出されている。人の姿は左右に波打ち、顔立ちは見分けにくく、淡い色調の世界が広がる。鯉江はフィルムでの撮影、現像で微妙な色調整を繰り返すことで作品に繊細な質感と奥行きを与える。「整然」や「統一」といったイメージを想起させる熱狂する群衆を扱いながらも、冷静に、客観的に完結させるのではなく、むしろ心象風景のような感覚的な世界へと変容させ、我々を意識の奥へと誘い込む。

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