photo: SAIKI Taku

あなたは自分を再生する

作家名(日)ピピロッティ・リスト
作家名(英)Pipilotti RIST
制作年2004
素材・技法インスタント寺院としてのヴィデオ / オーディオ・インスタレーション (金沢21世紀美術館内の男子トイレ1カ所と女子トイレ1カ所に設置): プロジェクター、メデイアプレイヤー、音響システム、タイマー、プレキシガラス、成型されたクリスタル、鏡ーSANAAへの敬意を込めて
サイズH30 × W30 × D30cm
著作権表示© Pipilotti RIST
courtesy the artist and Hauser & Wirth
収蔵年2004
受入方法購入
解説1962年ラインタール(スイス)生まれ、チューリヒ在住。

グラフィック・デザイン、写真、ヴィデオ、アニメーション等多岐にわたる分野の習得、さらにロックバンド活動等の経験がピピロッティ・リストの作品の独自性を際立たせる。体の部分を極端にクローズアップさせ、また故意に歪ませ不快感を煽るアングル、ラディカルでコミカルな人の行動の描写と、ポップで流動的な色彩に満たされた映像・音楽とが融合した表現が特徴的である。リストの作品には異質さとグロテスクさが混在しながらも人間という存在への優しいまなざしが窺える。

トイレは誰もが必要とする浄化の場所である。清潔、衛生を重視する場所の特性から、ピピロッティ・リストはここを神聖な空間(聖堂)と見立て、30センチメートル四方の祭壇を設けた。中には、透明な台の上に半円とクリスタルから成るオブジェが配されている。このオブジェが背後に配された鏡に映ることにより、半円が正円となる。リストはこれを美術館と見立てた。この半円には飲食物が体内を循環するうちに血液、涙、内臓組織へと変化する様を賛美するような映像と、排泄物に対しての感謝の言葉が投影される。さらに、高く伸びやかなリストの歌声や水の音、鳥の鳴き声などをミックスした音楽が重なり合い、鑑賞者はトイレという日常の場にいながら、神秘的な世界に身を置くこととなる。

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