photo: SAIKI Taku
眼下の庭
作家名(日) | 宮﨑豊治 |
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作家名(英) | MIYAZAKI Toyoharu |
制作年 | 1993 |
素材・技法 | 鉄、真鍮 |
サイズ | H153 × W165 × D173cm |
著作権表示 | © MIYAZAKI Toyoharu |
収蔵年 | 2000(作品購入年月日:2000/03/31) |
受入方法 | 購入 |
解説 | 1946年石川県金沢市(日本)生まれ、京都府在住。 釜師13代宮﨑寒雉の次男に生まれる。金沢美術工芸大学美術学部彫刻科卒業後は、木、鉄、銅、真鍮などの素材を用い、コンセプチュアル・アートの影響を強く受けた作品を制作。1979年より、作家自身の身体を中心に据え、様々な身体の部位のサイズや、身の回りの環境や風景、個人的な記憶を組み込んだ「身辺モデル」と題したシリーズを制作し始め、注目を集めた。1988年から開始された「眼下の庭」シリーズは、「身辺モデル」の形態を引き継ぎながらも、きわめて私的な作家自身の記憶を普遍的な表現に結実させたより深い作品世界となっている。 本作は「眼下の庭」シリーズの一作で、垂直に立つ鉄の支柱の下方から細い鉄の棒が木の枝のように緩やかに伸び、表面に焼付けられた漆が生み出す独特の質感と相まって、その佇まいは樹木を思わせる。枝の中ほどでは2人の人物が少し距離を置いて背中合わせに立ち、両者の背中は緩やかな弧を描く真鍮の線で繋がっている。鉄に漆を焼付ける技法は、代々釜師を務める宮﨑の生家でも茶釜の着色と錆止めのために用いられている。宮﨑は、自身が育った家、家族、庭、近所の町並みといった記憶が足元に沈殿するかのように広がるイメージを「眼下の庭」というタイトルに込め、自らが歩んできた時間、その中での自身の存在、他者との関係性を植物の形態を借りて表出し、自己を再構築する。見る者は、枝の上の人物の視線に自分の視線を重ね合わせた時、作家の記憶の中の主観的な時空間を追体験することになるのである。 |