© Estate of Gordon Matta-Clark, courtesy: David Zwirner, New York / London

一日の終わり

作家名(日)ゴードン・マッタ=クラーク
作家名(英)Gordon MATTA-CLARK
制作年1975
素材・技法スーパー8フィルム 
サイズ23分10秒
著作権表示© Estate of Gordon Matta-Clark
courtesy: David Zwirner, New York / London
収蔵年2004(作品購入年月日:2004/03/31)
受入方法購入
解説1943年ニューヨーク(米国)生まれ、1978年逝去。

父はシュルレアリストのロベルト・マッタ。ソルボンヌ大学で仏文学を、コーネル大学で建築を学び、デニス・オッペンハイムらの助手を経て芸術家としての活動を開始。多くのアーティストを巻き込んだ多彩なパフォーマンスに始まり、都市部で打ち棄てられた建築の切断を行なってはその一部を彫刻として提示した。また、その過程を写真や映像で記録しつつ、印刷物や書籍でも積極的に発表している。

《分割》は、マンハッタン郊外の一世帯用中古住宅を真っ二つに分断し、石造の基礎を外側へ傾斜させてその隙間を広げ、さらには四隅を切除するという過程を記録した映像作品。《一日の終わり》は都市部の河岸を舞台に、廃墟と化した兵器庫の鉄壁に三日月状の巨大な開口部を設け、床面を扇状に切断して下に広がる運河を露わにしている。両作品において交互に映される建築内外のシーケンスは、棄てられた建造物が明快な所為によって新たな状況へと劇的に変貌する様子を、周囲の豊かな緑や床下に広がる運河、そして燦々(ルビ:さんさん)たる太陽などを印象的に挿みながら綴っていく。しかしながら、図形の重なり合う部分を切り抜いた《カット・ドローイング》が端的に示す通り、彼の表現の本質は切断という行為やその結果としてのオブジェにあるのではなく、その末に立ち現れる環境、そうして暴かれた概念を表出させることにある。我々の知覚は、貫かれた異空間や世界の敷居を行き来しては、未知なる体験へと逸脱していくのだ。こうした彼の明快な脱彫刻的手法と、映像や写真、印刷物などの多様な記録は、当時の美術の在り方に一石を投じたのみならず、その当時の社会状況や制度をも露呈させる希有な証言となっている。

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