© Magnus WALLIN
リンボ
作家名(日) | マグナス・ヴァリン |
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作家名(英) | Magnus WALLIN |
制作年 | 1999 |
素材・技法 | 3Dアニメーション映像 |
サイズ | 3分34秒 |
著作権表示 | © Magnus WALLIN |
収蔵年 | 2004(作品購入年月日:2004/03/31) |
受入方法 | 購入 |
解説 | 1965年マルメ(スウェーデン)生まれ、同地在住。 身体上の健常と障がいの社会的区別について疑問を投げかけ、完璧で理想的な身体像という幻想から導かれる善悪、正誤、美醜といった固定概念の在り方を探求し、また、疎外される「他者」へ視線を向けた作品を制作。マグナス・ヴァリンは、15世紀末の画家ヒエロニムス・ボス等、過去の図像や映画を引用しながら、歴史的にそして現在も、人間が人間を疎外する価値基準や権力の構造を浮き彫りにする。 《EXIT》(出口)では、身体に障がいを持つ8人が猛火に追われ、大歓声と拍手が鳴り響く回廊を逃げる。8人の登場人物は、15世紀末の画家ヒエロニムス・ボスの絵画から引用された。迫りくる死から逃れようとする8人の激しい息遣い、彼らを容赦なく一瞬に焼き尽くす音の空しさ、そしてその瞬間、勝ち誇った歓声が場内に高らかに上がる。偽善を暴き、現実を厳しく提示する作品である。《リンボ》では、猛火を免れた3人の生存者を乗せたヘリコプターが、ナチス・ドイツ時代のオリンピック・スタジアムをモデルとする調和の場へ逃げ込むが、その時聖火を消し、天使の大群により地底へと墜落させられる。地底の神の目の中は、ヴィーナスの貝殻、オリンピック・リング、DNA構造の支柱、遺伝子操作の象徴としての金魚の像で飾られ、クローン化された理想美の人間たちによるシンクロナイズド・スイミングが展開する。「完全なる」身体像とそれを支える価値体系への懐疑を突きつける作品である。「リンボ」とは、キリスト教において、未洗礼者やキリスト教登場以前の人々が、死後、天国にも地獄にも行けずに辿り着く場所という意味がある。 |