photo: SAIKI Taku
炎に包まれた8つの髪束
作家名(日) | レベッカ・ホルン |
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作家名(英) | Rebecca HORN |
制作年 | 1993 |
素材・技法 | ナイフ8本、ブラシ8本、金属製の構造体、モーター |
サイズ | H235 × W49 × D29.5cm |
著作権表示 | © Rebecca HORN |
収蔵年 | 2004(作品購入年月日:2004/03/31) |
受入方法 | 購入 |
解説 | 1944年ミヒェルシュタット(ドイツ)生まれ、ベルリン在住。 美術学校で制作に用いた合成素材が原因で肺疾患を患い、1968年頃から約3年の療養生活を余儀なくされる。この時の外部からの隔離と孤独の経験が、羽毛のオブジェ、翼、マスクなど身体を拡張あるいは拘束する装具をまとう1970年代初頭以降のパフォーマンスを生む。触れるという親密さとコミュニケーションへの切望、身体の脆さとその防御を意識した表現は、映画や立体作品へと展開。さらに社会や歴史から抹消された記憶や悲嘆を見つめたインスタレーション、近年は音楽家と共同制作した音楽や言葉と光を用い、壮大な自然のサイクルと精神世界を考察する作品を発表している。 刃先の先端を上に向け金属棒に取り付けられた8本のナイフが横一列に並べられ、それぞれのナイフの上には、向かい合わせにブラシが配される。ナイフは順番に波打つようなゆっくりした上下運動を繰り返す。その結果、ナイフが筆の毛を順番に突き刺していく。タイトルからは、炎のゆらめきが髪束に迫る恐怖を連想させる。ここではナイフやブラシは本来の機能は奪われ、抽象的な記号となる。金属という硬質で凶器にもなりうる刃の鋭さ、柔らかく永遠のメタファーでもある髪の毛、そして突き刺し、刺される機械的な行為の繰り返しと繊細でゆっくりとした速度は、見る者の官能を刺激する。 |