photo: SAIKI Taku
流れ 02-35 / 02-36
作家名(日) | 八田豊 |
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作家名(英) | HATTA Yutaka |
制作年 | 2002 |
素材・技法 | 楮(樹皮) |
サイズ | H193 × W262cm |
著作権表示 | © HATTA Yutaka |
収蔵年 | 2004(作品購入年月日:2004/03/31) |
受入方法 | 購入 |
解説 | 1930年福井県(日本)生まれ、同地在住。 1951年、金沢美術工芸専門学校(現金沢美術工芸大学)美術科洋画専攻卒業。土岡秀太郎に師事し、北美文化協会会員となる。第9回シェル美術賞展(1965年)、「現代美術の動向展」(国立近代美術館京都分館、1966年)出品など、地方における前衛美術運動の旗手として評価された。1980年頃より視力が低下し失明を宣告された後、「丹南アートフェスティバル」を立ち上げるなど地域社会に密着した活動を展開。完全に失明した1980年代後半から、ドローイングによる模索を経て、1990年代前半より、紙、特に和紙、楮(ルビ:こうぞ)を素材とする独自の表現を確立する。 1980年代後半に視力を失った後、八田はアクリル絵具を指でカンヴァスにこすりつけるようにして描き続けたが、やがて人工的な顔料から、和紙や楮といった身近にある地域の自然素材を用いるようになる。楮をミキサーにかけて繊維をほぐし、手のひらで掬い取りながら貼り付け、自身の手跡を遺す作品などを経て、楮の樹皮の長い繊維そのものを生かしたシリーズ「流れ」へと展開する。繊維をほぐし、鋭敏な指先の感覚によって軟らかくなった素材と対話しながら新たな秩序を構築してゆく一連の制作プロセスはきわめて身体的な行為である。あくまでも八田の全感覚による理知的な制御の下で、仮想ではなく、実像としてそこに生成する造形は、現代の人間の無意識の領域にも働きかけ、見る者の深層に原初的なエネルギーの流れを喚起する。 |